革命の機運が高まり、不穏な空気漂う1886年メキシコ。南北戦争
での敗北ですべてを失ったベン・トレーン大佐(ゲーリー・クーパー)は、
革命で一旗揚げようとメキシコへやって来る。そんなある日、やはり
同じ目的を持つ無法者、ジョー・エリン(バート・ランカスター)と知り合
う。お互い腹を探りながらも、二人は行動を共にするようになり、政
府軍側について、デュバル伯爵令嬢(デニス・ダーセル)を乗せた馬
車をヴェラクルスまで護送する仕事を引き受けるのだが…。
バート・ランカスターの製作会社、ヘクト=ランカスター・プロによるア
クション西部劇。「対決」のテーマを終生追い続けたアルドリッチ監
督が、新旧スターの共演を切れ味いい演出で描いた傑作だ。アー
ネスト・ボーグナイン、ジャック・イーラム、チャールズ・ブチンスキー
(ブロンソン)など、男臭い多彩な脇役たちも映画ファンには嬉しいと
ころ。
「胸のすくような痛快作」というのは本作のような作品のことを言うの
だろう。性格の違う主人公二人の緊張を高めて行って(アルドリッチ
の演出の力でもあり、クーパー、ランカスターのパーソナリティによ
る絶妙な距離の関係性)、ラストの決闘にまで至る、騙し騙され合い
のドラマをスピーディなテンポと殴りつけるような荒々しいアクション
満載で語る巧みさ。チャップリンやルノワールの助監督を務めたア
ルドリッチの作風が、師たちのそれとは全く違うのは、天性の反骨
精神の表れなのか、アクションへの傾倒が強いのかはわからない
が、いずれにせよ、ゲーム性に満ちた対決アクションの達人、アル
ドリッチの才気煥発といったところだ(製作時、36歳!)。
一般に、製作も務めているランカスターが、場面をさらったと言われ
ているし、実際、黒ずくめの服装に身を包み、機敏な動きと不敵な
笑いで画面に映え、強い印象を残す。しかし、何度か本作を観直す
と、クーパーの哀愁と渋さ(元南軍大佐という負け組の設定も手伝い)
こそが、作品に深みを与えていることが良くわかる。このあたりは、
多くを語らない受け身の演技ながら、最終的には、一番おいしいと
ころを持っていくクーパーの長いキャリアと格の違いがなせる業だ
ろう。
本Blu-rayは、新たにHDテレシネ、レストアされた映画ファン待望の
盤。しかし、VHS、LD、DVDよりは、確実に画質が良くなったものの
(2:1画角のスーパー・スコープ)、依然として、全体的に画像の粗さ、
褪色(カラコレ=色補正はされているが)が目立つ。DVDにあった大
きなキズやコマ落ち(開巻間もなく、酒場で、ボーグナインが酒瓶を
割るシーン)などはレストアで修正されているようなので、やはり35
mm原版そのものの状態に問題があるのだろう。とはいえ、クーパ
ーとランカスターの細かい表情のニュアンスが、より詳細に観られ
るようになったのは嬉しい。音声は、依然、クレジット冒頭に歪みが
あるが、全体としてはクリア。
HDとしては、決して心から満足できる質とは言い難いが、本作の
ファンは買い替えてもいいと思う。特典には、予告編のみ収録(HD)。
容量を考えると、VHS、LD時代の1.33:1画角のオープン・マット版
を収録しても良かったのではないだろうか。