アナイス・二ンの絶唱調 三島由紀夫の演説調は全然ありません 一旅行者として神話と歴史と現代のあいだで「魚になった気分」「自然は多数決を無視する」「目だけの機能」などの自然科学的分析によりヴェネツィアの情趣を整理しています 偉大な先達の作品 豪奢なヴィジョン 散策の無目的に溺死せず現代人の瞑想と趣味と理性の模範になりそうです
ちょっとした謎解き つかの間の出会いに対するさめた位置付け 人生に愛着と明晰と軽快をもたらす連想が新鮮で透明感があり 清涼感があって透徹した夢見心地が読後感であり
伝統と教養をさわやかに総合した癒しの書です 本書もマルグリット・デュラスの「愛人」も
どの断章を読んでも著者ならではの魂です 現代日本のどの小説も随筆も魂の顕現を感じることのない知識と経験の積み重ねに終わっているのは残念です