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ヴェニスに死す (岩波文庫)
 
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ヴェニスに死す (岩波文庫) [文庫]

トオマス マン , Thomas Mann , 実吉 捷郎
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

旅先のヴェニスでふと出会った,ギリシャ美を象徴するような端麗無比な姿の美少年.その少年に心奪われた初老の作家アッシェンバッハは,美に知性を眩惑され,遂には死へと突き進んでゆく.象徴と比喩に満ちた悪夢のような世界を冷徹な筆致で描き切り,その果てに永遠と神秘を垣間見させるマンの傑作.(解説=川村二郎)(改版)

内容(「BOOK」データベースより)

旅先のヴェニスで出会った、ギリシャ美を象徴するような端麗無比な姿の美少年。その少年に心奪われた初老の作家アッシェンバッハは、美に知性を眩惑され、遂には死へと突き進んでゆく。神話と比喩に満ちた悪夢のような世界を冷徹な筆致で構築し、永遠と神泌の存在さえ垣間見させるマンの傑作。

登録情報

  • 文庫: 167ページ
  • 出版社: 岩波書店; 改版 (2000/5/16)
  • ISBN-10: 4003243412
  • ISBN-13: 978-4003243411
  • 発売日: 2000/5/16
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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By およよ VINE™ メンバー
形式:文庫
私がこの作品を初めて読んだのは高校生の時だった。

人間の努力による厳格な構成と精神の高貴を追求した作品により,地位と名声を獲得した初老の芸術家が,旅先で「完全に美しい」少年に出会う。その神の作品ともいうべき完璧な美の前に芸術家の人工的な美は敗北し,芸術家は少年の美にのめり込み,遂には死を迎える…。その頃はこのような耽美的な,一種退廃的な作品とも捉え,その世界に酔いもしていたのだった。

しかし,今,余程アッシェンバッハの年に近づいた自分が読み直すと,また違う印象を抱かされる。

タッジオは決して単に客観的に,外部だけに存在する美少年ではない。わずか六歩の距離でタッジオがわざわざアッシェンバッハに観賞されているという不可思議な道化師の場面からも分かるように,二人には秘められた,精神の回路が通じている。

タッジオはさながら美の王国からやってきた天使のようだ。そしてその天使は地上での役割を終えつつある芸術家をねぎらい,祝福し,そして永遠の美の王国へと誘うのである。

読者はしばしアッシェンバッハと共に神話的なエロスへの憧れに胸をかき立てられ,美の世界にさまよう。しかし物語は彼の死で突然終わり,読者は再び日常生活に投げ出されてしまう。永遠と美の神秘へのやるせない憧れを抱かされたまま,美と日常生活の深い断絶を前に,読者は途方に暮れる他はないのである。

百年近い年月を重ねた今でも,あやしく光る文学の神秘に圧倒される作品である。
このレビューは参考になりましたか?
17 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
名翻訳 2002/4/21
By くま
形式:文庫
第一・二章を読む限りは-解説者の絶賛にかかわらず-私はこの翻訳が「名文」だとは信じられなかった。というのも、一文がいかにも長く-こんな風に差し込み文が多用されてあって-哲学の文章みたいに難解であったからである。

しかし、老学者アッシェンバッハがヴェニスに旅にでると文体がらりと変わる。修辞的な文は無くなり、俗な会話が多くなる。簡潔で美しい「名文」になるのである。そしてそういうときに彼は美少年タッジオに出会うのだ。長い間、理性を保ち、理論の世界で生きてきた彼は、目の前の「美」に触れてその感情(恋)に振りまわされる。

初めて美少年に微笑をもらったとき彼は「奇妙に憤怒」するのである。「きみはそんなふうに微笑してはいけない。いいかね。誰にだって、そんなふうに微笑して見せるものではないのだよ。」やがて彼は「認識」の世界に別れを告げ、自滅する。

マンは自戒の意味をこめてこの小説を書いたのかもしれない。しかし世の多くの読者はこの老人の死を否定的には思わなかったはずだ。私もむしろ賞賛したい気持ちがある。世に認められ、子供も成人している初老の芸術学者が出会ったのは、若者には分からない最も純粋な形の恋であったかもしれないし、それ以上の「人間が人間としてあるための秘密の扉」の1部だったのかもしれない。そう思わせるような雰囲気がこの名文のなかにはある。

このレビューは参考になりましたか?
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
読むことをお薦めします。
映画の方は、ただ観る分には少しわかりにくいのですが、先に原作を読んでおけば、美しい映像の何気ないシーン、何気ない会話やしぐさなどが、アッシェンバッハの心情を読むにあたって、いろいろな意味を帯びてくると思います。

この作品を読んでて感じるのは「陶酔」でしょうか。アッシェンバッハが美童タッジオに心から心酔させられたように、読者はこの作品の持つ雰囲気やらに心酔させられてしまうことと思います。この陶酔感に関して言えば、映画よりも原作のほうが勝るといっていいです。

映画を観る前に読むことをお薦めしていますが、既に映画を観たことがある人や映画なんて知らないという人にも是非ともお薦めします。素晴らしい文学作品です。

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