私にとってヴェイユは哲学者というよりも、内的な必然性から思考を発展させた人という印象が強く、親しみがもてます。
その必然性とは、「弱者への同情」であり、スクールメイトに対しても弱者への共感を示さない人に対しては口を極めて非難する一面があったそうです。
ある種極端な性格の持ち主だったのかもしれませんが、口だけではなく自ら望んで労働者階級に身を投じたり、反戦主義者でありながら悲惨な戦場を知る為志願兵となったり、誰もが逃れられない「この世の苦」がどんなものかを体で知ろうとした人だと思います。
それでいてイデオロギーや宗教的ドグマに対しては醒めた一線を引くのですが、比類のないヴェイユの感性と論理性は、「神」「不幸」「恩寵」などといった本質的なテーマに思考をめぐらさせずにはおかない。やがて疑問視していた人格的な宗教的体験をするのですが、そうした彼女の体験と思考からあふれ出た言葉が本書に掲載されています。
「何のために生きる(苦しむ)?」という疑問は人類がある以上つきまとう問題ですが、身体でその疑問にぶつかっていった人はマレだと思います。
余談ですが、 ヴェイユは身体的不調に悩まされた時、詩人ジョージ・ハーバートの「愛」という詩を唱えて苦痛を紛らわしたそうですが、その詩も絶品で、苦痛に何か意味があるのではないかと思わされるものです。本書には載っていませんがネットで検索できる短い詩なのでぜひ一読されたいと思います。