8巻で、見事に作者にやられた!と思いました。あの長い話がプロローグだったとは!
そもそもの物語のテーマはトルフィンとヴィンランド。おそらく「トルフィンが本物の戦士としてヴィンランドにたどりつく」のが本筋であるように思われました。(1巻や2巻でトルフィンが父から引き継いだ遺志が描かれていた)それなのに、アシェラッドの兵団についていき、決闘を申し込んでは己の精神的未熟さ故に負け続けるトルフィン。物語はそんな主人公を待ってはくれず、次々に事態は変わっていく。
ついに8巻で、アシェラッドが死ぬに至って、作者にしてやられたことに気付いたのです。
なぜ周囲の魅力的な人物たちが描かれながら、トルフィンがなかなか精神的に成長せず、人間的魅力にも乏しい描かれ方になっているのか。
トルフィンには、これから先物語を引っ張っていく人物となるための時間と経験が必要なのですね。
「生きてきてなーんにもいいことがなかったよ。」トルフィンの中では、父トールズがアシェラッドに殺された時点で止まってしまっているのですね。これからトルフィンが「人の優しさ」に触れ、生きている喜びを感じていくことができるのか、新章奴隷編は語られていくのではないでしょうか。壮大に語られるトルフィンのサーガ。楽しみです!