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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「暗さ」ばかりではない太宰作品,
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レビュー対象商品: ヴィヨンの妻 (新潮文庫) (文庫)
この本は、「親友交歓」「トカトントン」「父」「母」「ヴィヨンの妻」「おさん」「家庭の幸福」「桜桃」と、終戦後に書かれた8編の短編から成っています。従って、死の直前の3年間の作品群と言うことで、彼の死が予感される作品が多くなっています。 ただ、それだけではなく、非常にユーモアに富んだ作品も多く含まれています。 表題作の「ヴィヨンの妻」は、その素晴らしい表現力によって、夫妻の微妙な心情の動きが見事に表現されています。 どうしようもないところまで精神的に追い詰められている夫の弱さと、どうしようもない家庭状況にも平然と立ち向か妻の強さが、非常に対照的に描かれています。 妻の突飛な思いつきによる生活の変化が、この夫婦の生活を一変させてくれればいいなあと思います。 そう思わせるのが太宰の作品なのでしょう。 「家庭の幸福」は、官僚について書かれた作品ですが、実に皮肉でユーモアに富んだ作品になっています。 先日の衆院選で民主党が官僚支配の打破を訴えていましたが、太宰はすでに作品で官僚批判をしています。 太宰作品については、「暗い」と言うイメージが強かったのですが、今回この短編集を読んでみて、そればかりではないと言うことを実感しました。
23 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
家庭人が最も似合わなかった太宰の等身大の苦悩,
By RETRO STORY (TOKYO) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ヴィヨンの妻 (新潮文庫) (文庫)
~表題作「ヴィヨンの妻」の前半は、中央線「三鷹駅」の郵便局の斜め向かいに借りていた仕事部屋で綴られたと言います。ここは「人間失格」が書かれた仕事部屋「千草」や「斜陽」が書かれた肉屋の離れとは少し離れています。太宰は三鷹駅周辺に5箇所ほど仕事部屋を移り歩いていた様です。三鷹でも井の頭公園寄りの本宅から三鷹駅まで通い、仕事を終えると駅前の~~呑み屋で一杯やるのが太宰治の日課だった様です。駅前の喫茶店「山の音」は、太宰が愛用した呑み屋「喜久屋」の跡、「鴎」に出てくる太宰贔屓の「美登里屋鮨」も駅の近くに健在です。~~ 入水自殺の相手となる愛人・山崎富英の下宿跡が現在「葬儀屋」であるのは皮肉な因縁を感じます。はす向かい太宰が仕事部屋を借りていた料亭「千草」が在りましたが、最近取り壊されマンションが建ちました。 ~~ 本作では太宰の実生活の苦悩が私小説的に綴られています。私が読んだのは随分昔の事ですが特に印象に残っているのが「トカトントン」戦後の庶民の空虚な心情が見事に語られ、こうした強迫神経症のモチーフを文学作品にもちこんだのは、私の知る限りにおいて太宰のこの作品が初めてではないでしょうか。 ~~ 一旦は幸せな家庭を築いたものの、愛人との入水自殺に走ってしまった太宰の、「家庭は諸悪の根源」と逆説的に言う哀れな苦悩が痛々しく胸に迫ってきます。太宰の人間愛と行動は裏腹で、天才として生まれた者の宿命、繊細過敏ゆえの苦悩と慚愧の念が行間に呻いております。私はまだ独身ですが父親・母親として家族をもっている方とではおのずと読み取る物が違~~ってくるでしょう。 「人間失格」や「斜陽」といった長編が代表作とされますが、私は太宰文学の神髄と醍醐味は短編にあると感じております。若い頃に一度は読んで太宰文学のハシカに罹っておくのもよいかもしれません。負の部分に憧れては危険ですが、麻疹と一緒で大人になってから罹ると症状が重いと言いますから。~
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
大人にこそお薦め,
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レビュー対象商品: ヴィヨンの妻 (新潮文庫) (文庫)
学生時代に読んだ太宰はさっぱりその良さが分からず、あまり好きな作家ではなかったものの、書店で太宰治フェアをしていたため、20年振りに読んでみた。各短編ともその良さが理解できる年になったのか、夢中で読み終えた。 人生の苦悩や家庭を維持する苦労を経験した大人にこそ太宰の良さは理解できるといった印象の作品が多かった。 学生時代に太宰の本を投げ出してしまった経験を持つ人は久しぶりに手にとってはいかがだろうか。
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