チェーホフの短編集を映画化した今作「three days of rain(原題)」は、ノスタルジックであり、またセンチメンタルでもあり、ジャズの響きが良くマッチする作品です。
ある都市で暮らす人々は、それぞれの生活上の問題にぶつかる。例えば、雨のせいで商品を台無しにされたタイル職人や、ホームレスに食べ物を恵んであげるかで悩む夫婦、また、我が子を自分の手で育てられずに嘆く一児の母、など全体的にやや暗いところがある。それはまさに都市全体を覆い尽くす雨雲の、のっぺりとした重さと通じるところがあって、行き詰まった正解の無い人生に登場人物たちは沈黙し、降りやまない雨をじぃっ、と眺めて考えに耽る。
憂鬱な雨の日に、一人で窓の外を眺めた経験は誰にでもあると思います。自然と小さな溜め息を漏らして、降りしきる水滴に目を遣る、そんな経験を覚えているのではないでしょうか。『この感覚』が見事に表現されている「rain」は、少し大人でどこか懐かさを感じさせる群像劇です。
DJの曲紹介で始まり、DJの語りで終わる。映画を観終えた時、私はしんみりとした感覚を覚えました。まるで、窓の外で雨が降っているような、そんな憂鬱な日の感覚を・・・