某週刊誌の書評で絶賛されているのを読み、はじめて本書の存在を知りました。著者も全く知らない方でしたが、これがデビュー作だったのですね。
ハイジャックされた航空機が、台風の影響より文字通り孤島と化した関空に強行着陸してくる。果たして犯人の意図とは・・・過去に起きた忌まわしい殺人を描くプロローグから一気に引き込まれます。空港の構造などについてはかなりの下調べをなさったようで、ディテールを丹念に積み上げていく硬質の文章は女性が書いたもの、しかも処女作とはとても思えませんでした。
空港内に一人たまたま取り残された刑事がいたりと、「和製ダイ・ハード」風な展開を予想して読み進んでいったのですが、そういった孤立無援のヒーローものではなく、なかなか凝った物語が構築されています。
部分的に読みにくい構成となっていることや、最後の方の展開はやりすぎてリアリティがやや希薄になってしまったことが残念といえば残念なのですが、多くの方が充分な満足を得られる、決して読んで損はしない作品だと思います。
作品自体の採点は星4つですが、次作以降に大いなる期待を込めて、5つ星とさせていただきました。