ヴァンパイアを題材にした作品は国内だけでも数多あります。実際本書も
「ヴァンパイア」だけではアマゾンの検索でもたどり着けませんでした。本書で
扱われているヴァンパイアは必ずしも生血を必要とせず永遠の命を持っています。
ヴァンパイアにも能力の格差があってその中で頂点にたつと何をよりどころにして
生きて行けばいいのでしょうか。本作は霧のロンドン、三陸湾岸沖の島、東欧の小国を
舞台に二人の超ヴァンパイアがどう生きていくのかが描かれています。永遠の命と
若さが手にはいると人は権力とか支配欲より生きる目標が、より個人的なものに
収斂されていくのだと感じました。
二人の超ヴァンパイアと対照的な存在として描かれ、同じくヴァンパイアに
なった泰彦のキャラがたっています。彼はヴァンパイアになることにより人間の
煩悩を具現化した性と暴力の象徴となってしまいます。自ら滅びを引き寄せてい
く泰彦の姿は、最近の凶悪化する日本人の弱さを象徴しているのではないでしょうか。
海外場面に比べ中盤の三陸編の描写が文体にギャップを感じました。このままの
世界観で話が続くのなら単なるエログロ小説になりかねなかったのですが、
終盤になって冒頭の世界が戻ってきますので中盤は少し我慢が必要かなぁ。