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ヴァインランド
 
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ヴァインランド [単行本]

トマス ピンチョン , Thomas Pynchon , 佐藤 良明
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

『重力の虹』以来17年間の沈黙を破ったピンチョン。メディアとコンピュータに隷属する高度資本主義消費社会を猥雑な知の文学が挑発する。ピンチョン歴20年、佐藤良明の302項目に及ぶ詳細な訳者ノート(併読用栞ひも2本)付。

内容(「MARC」データベースより)

マフィアのドンと彼が抹殺を謀る連邦検察官、綿密な殺しのために秘密兵器に選ばれた天才少女格闘家と彼女を忍者に育てるニッポンの武道家。14歳の少女による母親探しを軸に、アメリカにおける「抑圧」の構図を描く。

登録情報

  • 単行本: 645ページ
  • 出版社: 新潮社 (1998/12)
  • ISBN-10: 4105372017
  • ISBN-13: 978-4105372019
  • 発売日: 1998/12
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.2 x 4.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 218,143位 (本のベストセラーを見る)
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32 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
ピンチョンの従来の作品から比べると格段に読みやすい、と言っていいでしょう。少なくとも話の軸をフォローしていくことはさほど困難ではありません。もちろん、圧倒的なディテールを濃厚かつ軽妙な語り口で描写するスタイルやフラッシュバックの多用などはいつも通りですが。

恐らく評価が分かれるのは、メディア化しコンピュータ化された社会のなかにあぶり出されている「悪」の存在についてでしょう。社会の混沌そのものがそのままの形で提示されようとしていた「重力の虹」などと比較すると、テーマが実体的に絞られた分、読みやすくはあるのですが、「悪」が矮小化されてしまっている点は否定できないと思います。従来のファンはちょっと肩すかしを食らわされた印象を受けるかもしれません。
カウンターカルチャーのツールとして出てくる忍者もどきや北斗の拳まがいの拳法なども、ちょっと評価に苦しむ所でしょう。恐らくこの小説が発表されたのが80年代半ばであることも関係しているのでしょうが。

このレビューは参考になりましたか?
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
買いです。 2010/8/5
形式:単行本
90年発表のピンチョン4作目の長編小説です。ピンチョンは高校生の頃、「V.」を読んだのが最初で、以後翻訳された順に読んだので、この作品も98年に読みました。「コンプリート・ワークス」で刊行される前に予習のつもりで、いま一冊ずつ読み返しています。百科全書的な「重力の虹」に比べると、明らかに読みやすく、17年ぶりの新作に過剰な期待を抱いていた人にはかなりの肩すかしだったと思われますが、正直「重力の虹」はあまりの長大さが手に余り、途中から自分がなにを読んでいるのかわからなくなる瞬間さえあったので、この「ヴァインランド」のポップさは新たなピンチョン体験でした。今回は読み終わった直後に、ネットで見つけてプリントアウトしておいた、「新潮」1999年3月号の書評や、いつか読もうと買っておきながら結局今日の今日まで手に取ることのなかった木原善彦氏「トマス・ピンチョン ー無政府主義的奇跡の宇宙」を読んでみました。すると、なんとまぁ、どこをどう読んでいたのかと我が身が情けなくなるほど、教えられることが多かったのですが、ただピンチョンを読んでこれほど笑った作品もなかったので、個人的には楽しめたように思います。構造的には、ほかのピンチョンの作品にも共通して言えることだと思いますが、二項対立の図式を常に念頭に置いて読むと細部に至るまで明瞭に読みこなせるような気がします。あらすじについては要約を拒むような作品なので触れませんが、個人的に情けなかったのは、8ページのデズモンドのドッグフードとブルージェイのエピソードが、573ページの「(デズモンドが)ブルージェイの羽毛を顔面にいっぱいつけて、」につながってきたのは気づいたものの、実家の飼い犬の食べ残しをすずめが集団でつついている様子を満腹で横になった犬が追い払うでもなくぼんやり見ていたという個人的な懐かしい思い出に引っ張られて、「ブルージェイとどこかで遊んできたのかな」とか暢気に考えてしまったことです。ここの解釈や、なぜブロックがヴェイトとブラッドによって死に誘われたのかは、前述の木原善彦氏の著書に教えられました。しかし、志村正雄氏の「解註」の倣いに従ったと思しき佐藤良明氏の手になる「『ヴァインランド』を楽しむための訳者ノート」は、「いくつか〈読み〉を誘導するような註もあって、少々鬱陶しかった」とする向きもありますが、悪のりと受け取られかねないところもありつつ、なにより本作を楽しんでいる、訳者の高揚感のようなものが伝わってきて、なにかと神経をすり減らしそうなピンチョン作品の翻訳に対する労いの意を込めて、これくらいの遊びは許されて然るべきだと思いますし、正直とても楽しめました。ただまぁ、スペイン語訛りの英語の猥雑さを狙ったのはわかりますが、それでもやはり大阪弁は読みにくかったです。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
ある日NHK教育を見ていたら、英会話番組なのに“Queen”や“David Bowie”を熱く語るおっさんを発見。
また別の日のアニメ番組“リトルチャロ”でも、マッドサイエンティストの格好でビートルズナンバーを口ずさむ、同じおっさんを見た。
そのおっさんの名前は佐藤良明。あれっ、どこかで見たような。
そのお茶目でポップなおっさん、失礼、おじさんこそ、この本の翻訳者だった。

私たちが事件を思い出すとき、頭の中にTVの映像が浮かぶようになったのは、どの世代からだろう?
ケネディ暗殺、アポロ月面着陸…、私たちは歴史的事実を映像で捉えられるようになって久しい。
だけど、映像は「編集」という他人の主観が絶対に入るものだし、
虚構は写せないからその代わりに真実を隠すという手法で、真実と違った真実=虚構の真実を簡単に作れるようになった。
その虚構の真実がTVという道具を媒体に撒き散らされ、大衆の心理を操作し支配するに至った現代の世界で、
アルコール、ドラッグの誘いを何とか避けたものの、TVの毒に晒され犯されつつある私たちの精神をどう保てばよいのか。
その意味で、私たちは有史以来最悪の、葡萄の蔦が絡まるような混沌世界で生き負わされていると言えるのかもしれない。

私にはこの本の猥雑な描写の裏に「永劫回帰」の思想が芯を作っているような気がした。
でも、そんな直球のまじめ視点だけで500ページ以上のこの本を読み終えるのは不可能だし、第一楽しくない。
そうでなく、もっと肩の力を抜いて、
60年代以降のアメリカンポップカルチャーのおたく的ネタの集中射撃を浴びるのもよし、
アメリカ人視点によるニンジャや経絡秘孔や日本のエロ産業のエピソードにニヤニヤするのもよし、
ディランやジミヘンなどのミュージシャンの名前が出るたびに部屋のCDラックをかき回すのもよし。

そういう楽しい読み方を助けてくれるのが、巻末62ページにわたる渾身の力作?訳者ノート。
その言わずもがなな周辺のさらに周辺な情報や、アホやなー的なウンチク披露は、「やりすぎ」と怒る心の狭さなんか放り捨てたくなるくらい、この本に笑いと楽しさをもたらしてくれる。
楽しみながら読まないと、読了前に、サブリミナル効果満載のTV画面のようなこの作品の毒が脳髄に回ってしまうから、ね。
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