『いつも心に音楽が流れていた』(柳田邦男)で「音楽が聴こえる絵本」として紹介されている。
ベルギ−の画家であり絵本作家であるガブリエル・バンサンの作品。
鉛筆によるデッサン風の絵が110頁以上にも及ぶ。
言葉は、ところどころに断片的にしか添えられていない。
そのほとんどが主人公の青年の内的独白で、
物語の進行につれて、街の人々の会話や青年と少年の対話が加わってくる。
言葉は極限まで押さえられ、絵が心理描写までをも表現する、
まさしく「視覚言語」としての絵本の力を感じさせてくれる。
また、人の心理描写に、
これほど「目」(=目線、まなざし)の表情が大切に扱われているのに驚かされる。
「眼は口ほどに物をいう」という諺があるが、それを巧みに描いているこの絵本こそ、
まさしく「口ほどに物を言う」である。
物語を通してどのペ−ジを開いても、ずっとヴァイオリンの音色が流れてくるようだ。
さて、この絵本を読むみなさんの心に響いてくるのは、どんな曲なのだろうか。