昔からワーグナーの音楽は聴いていましたが、舞台を見たことがなく、いつか視覚をとおして見たいものだと思っていました。その願いが始めてかなったのがこのDVDです。
一言で言うと、満足しました。やはり、こういうものは物語世界を楽しむものだと思いました。音だけだと私には少しキビシイ。
演奏、出演者の歌、演技、舞台装置、どれも申し分のないものだと思いました。若く美しい女性はちゃんと若く美しい女性が演じていましたし。(若く美しい女性の役をそうでない人が演ずるのは私には少しキビシイ)
私はエッシェンバッハの原作を読んでいるのですが、原作にあった中世騎士物語的な部分が、ワーグナーの脚本だとバッサリ削られていて、宗教的な部分だけになっているんですね。しかも、クリングゾルの城の話も原作とは全然違って、むしろ仏陀成道前の魔王の誘惑の話にそっくりです。ワーグナーはパルジファルの後は仏陀の物語を楽劇にしようとしていた、と何かで読みましたが、このころのワーグナーが相当仏教に惹かれていたのは確かなようですね。
この楽劇のテーマも「欲望からの解脱と慈悲」のように見えます。仏教じゃないですか。ワーグナー自身は晩年まであちらの方はお盛んだったようですが、そういうことをやりながらも、どうもこれは正しくない、「欲望からの解脱」の方が本当は正しいのだ、と感じていたのではないかと思われます。