分かりやすい紛争解決、平和構築の入門書であると同時に、ワークショップの手法が具体的に紹介されているノウハウ本でもある。
全体を通して「平和構築とはどういうものか」、またその具体的な手法であるワークショップは「どういう内容でどんな気付きがあるのか」、それぞれ事例の紹介からコラムまであって、内容が非常に理解し易い。
特にワークショップの手法については、平和構築の専門家や援助関係者ならずとも、日常生活、ビジネスの世界においても使えるツールではないかと思う。例えば、組織間のトラブルは会社にはつき物だが、本書のワークショップの考え方や手法を応用して解決の道が探れるように感じ、興味深い。
また、本書は第一部で基礎的な紛争解決学、平和構築論等の基礎を知り、第二部以降では具体的にそれをどう実践すれば良いのかを事例を通じて解説している。つまり理論と実践(厳密にはその紹介だが)が連関して、一冊で両者を繋いで読み手の腑に落ちるような…そんな仕掛けとなっている印象を受ける。
上記のとおり全体として興味深い良著であったが、ただ一点、想定する読者層はどこだったのだろうかという疑問がある。
いわゆる援助関係者等専門家に留まらず、広く一般に対して紛争解決の手法を紹介するとともに、紛争解決、平和構築の実践的な入門書なのではないかという一読後の感想がある。
つまり、著者の言葉を一部借りれば本書のメッセージは、”みな、よりよい社会を創るピースビルダーたれ!”ということなのであろうが、そうであるならば本書の題名は、レビューにつけた様なものにしても良かったのではないだろうか(要は、紛争解決と平和構築という専門的な堅い話ではないということ)。
なお、細かいことだが、本書の第1部でパレスチナを題材にしたレモンランド紛争が事例のような形で挙げられている。
レモンランドは明らかにパレスチナだったが、パレスチナ→レモンランドに言葉を置き換えるだけで、妙に納得感があるのが不思議だった。
別の話のようにみせて単純化して、かつ理解や受け入れをし易くする。こういった仕掛けもピースビルダーのノウハウなのかもしれない。このようなやり方も、通常の仕事等でも使える面白いやり方なのではないかと思う。