「ワーキング・プア」とは「働く貧困者」を指す。持たざる者の努力が報われる、いわゆるアメリカンドリームのイメージとはあまりに懸け離れた最下層の人々の生活が、本書には生々しく描かれる。我が国への大きな教訓の1つは、そうした人々の数や実態についての当局の調査や統計が当てにならないということだ。著者は「生活が困窮していると当然考えられる人々の数を(政府は)過小に見積もり、現実を美化している」と批判し、さらに数字に表れない、より深刻な問題として、下層社会全体が言いようのない絶望感に苛まれている現状を危惧する。
我が国にも「格差問題」を扱う書は増えているが、学術的見地からの研究や個別の体験談を綴ったものがほとんどである。本書のようにジャーナリストが重層的に事実を編み込んだ記録は少なく、貴重な資料になり得るだろう。
(日経ビジネス 2007/03/12 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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17 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
現代資本主義社会の世界的な問題として,
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レビュー対象商品: ワーキング・プア―アメリカの下層社会 (単行本)
アメリカは世界トップクラスのGDPを誇り、政治、経済、軍事とあらゆる面で世界の中心となっている。しかし、総人口の13%が貧困ライン以下の生活に強いられているというのも事実である。 本書は、貧困に苦しむ人々、その貧困に立ち向かう人々、さらに雇用主に至るまで、様々な人にインタビューを行い、 貧困ラインの淵で喘いでいるアメリカの忘れ去られた下層社会の実態を明らかにしている。 貧困は、様々な問題が複雑に絡み合って起こっているのであって、対症療法的な策を講じても、支援策となるだけで根本的な解決策とはならない。 では、有効な解決策とは何なのか。 それは、本書を読み進めるうちに、身にしみて感じることができるであろう。 また、本書で明らかにされているアメリカの下層社会は、現在の日本の姿に通じる点が幾つも見られ、 アメリカだけの問題としてではなく、現代資本主義社会の問題として捉える必要がある。 400ページ近くと厚い分量で、なおかつ2段組、さらに訳書ということで読みにくい点もあるが、日本の問題を考える上でも是非一読しておきたい本である。
34 人中、32人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
努力が報われない。,
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レビュー対象商品: ワーキング・プア―アメリカの下層社会 (単行本)
読み始めてだんだんと怒りとも言えないなんとも表現のしようが気持ちになってしまいます。働くことをさぼってるわけでも無く、適当に仕事をしてるわけでもなく、少しでもましな暮らしを願って人種に関係なく日々ひと一倍働いているのに毎月請求書の山に日々悩み、苦しみ、あっと言う間にお金が手元をすり抜けていく虚しさ。学歴が低いことや人種や英語が話せない、不法入国、病気、離婚等さまざまな理由で国の恩恵が十分受けられずに奴隷のように働いている人々。その人々の弱みに付け込み最低賃金以下で雇用する事業主や各種手数料などさまざまな手段や方法で潤ってる企業、またそれらの人々がいるからこそ成り立っているアメリカ産業会等。何もしなくて生活保護を受ける方が収入が良くて働くと生活保護を受けてる時より収入減ってしまう社会の矛盾。 この本に出てくる人は働けるのにうまく立ち回って生活保護を受けてる人がいても自分は働ける!だから働く!でもそれが報われない、認められない、どうしたらこの蟻地獄のような生活から抜けることが出来るのか?努力しているのに・・・・なぜ? いまの日本でもこの本と同じような現象が年々拡大しつつあります。 そのためにもお勧めの1冊! でも、字が細かく1ページに2段なので読むに少し疲れるので星は4つ
12 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
アメリカにおける貧困の実態をあるがままに描写,
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レビュー対象商品: ワーキング・プア―アメリカの下層社会 (単行本)
現代社会の階層化問題に興味があって手に取った。アメリカ社会における貧困の問題は昔から存在していたが、ここ数年、ワーキング・プアという用語の出現とともに、クローズアップされるようになってきた。著者のデイヴィッド K.シプラーは元ニューヨークタイムズ紙の記者でジャーナリストである。 アメリカにおける貧困の実態をあるがままに描写しようとしている点が特徴的で、丹念かつ長期間にわたる取材で、多くの人たちの様々な形の貧困の物語を提示している。生活困窮におちいるきっかけは様々だが、やはり生まれ育った環境に多くの原因があるようだ。たとえば、犯罪の多い地域に生れた、幼児期に親族から性的虐待を受けた、学校に行けず低賃金の仕事にしかつけない、などである。日本におけるワーキングプアとはかなり事情がちがっていて、人種差別の問題が根底にあるような印象を受けた。 本書の興味深い視点は、最底辺の貧困層ではなく、貧困のボーダーラインに存在する層に着目した点であろう。この層はほんのちょっとしたきっかけ、たとえば、ちょっとした病気や怪我で入院したというようなささいなきっかけで生活の歯車が狂い、簡単に生活困窮のスパイラルに陥っていく。この点はおそらく日本でも同じような事情があるような気がしている。日本のワーキングプアは、派遣労働法の改正がそのきっかけであるという議論がある。が、それだけではこのボーダーライン層がどのように形成されるのかが説明できない。もう少し類書をあたってみたい。
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