「ワーキング・プア」とは「働く貧困者」を指す。持たざる者の努力が報われる、いわゆるアメリカンドリームのイメージとはあまりに懸け離れた最下層の人々の生活が、本書には生々しく描かれる。我が国への大きな教訓の1つは、そうした人々の数や実態についての当局の調査や統計が当てにならないということだ。著者は「生活が困窮していると当然考えられる人々の数を(政府は)過小に見積もり、現実を美化している」と批判し、さらに数字に表れない、より深刻な問題として、下層社会全体が言いようのない絶望感に苛まれている現状を危惧する。
我が国にも「格差問題」を扱う書は増えているが、学術的見地からの研究や個別の体験談を綴ったものがほとんどである。本書のようにジャーナリストが重層的に事実を編み込んだ記録は少なく、貴重な資料になり得るだろう。
(日経ビジネス 2007/03/12 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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