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ワーカーズ・ダイジェスト [単行本]

津村 記久子
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

芥川賞作家が贈る、32歳の遠距離共感小説
お肌のくすみ、気になる薄毛、周りの評価、人間関係──32歳は希望も欲望も薄れていく歳だった。誕生日と苗字と年齢が同じ男女の1年間をユーモラスに描く、著者2年ぶりの傑作長編。

内容(「BOOK」データベースより)

32歳は、欲望も希望も薄れていく年だった。けれど、きっと悪いことばかりじゃない。重信:東京の建設会社に勤める。奈加子:大阪のデザイン事務所に勤め、副業でライターの仕事をこなす。偶然出会った2人は、年齢も、苗字も、誕生日まで同じ。肉体的にも精神的にもさまざまな災難がふりかかる32歳の1年間、ふたりは別々に、けれどどこかで繋がりを感じながら生きていく―。頑張るあなたに贈る、遠距離“共感”物語。

登録情報

  • 単行本: 200ページ
  • 出版社: 集英社 (2011/3/25)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087713954
  • ISBN-13: 978-4087713954
  • 発売日: 2011/3/25
  • 商品の寸法: 19 x 12.8 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 105,710位 (本のベストセラーを見る)
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16 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 黒柴
いわゆる「お仕事小説」を得意とする津村記久子の、これは真骨頂であり最高傑作!!
最近出たアンソロジー『そういうものだろ、仕事っていうのは』に収録の「職場の作法」も秀逸だけれど、この『ワーカーズ・ダイジェスト』は、本当に、いい。
何がいいって、普通に働いて普通に頑張って生活してる大人に対して、とっても優しいから。しかもその優しさが、「いつか素敵なことがあるよ!」とか「私も応援してるから頑張って!」とか「あなたを支えてあげる!」みたいな、わかりやすく空疎なものじゃない。30過ぎたら、しんどさも理不尽も、自分でそこそこ処理できるやんか、それってサミシイことでも何でもなくて、あんたそれ、めっちゃ賢くてえらいんやで。しかもあんたみたいな人、実はたくさんおるんやで。そう言ってくれる感じの、優しさなのだ。
こういう時だから、本当に、普通に淡々と仕事したり生活したりすることの大切さを、しみじみ感じた作品。
このレビューは参考になりましたか?
22 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By mnm
『ワーカーズ・ダイジェスト』、津村記久子の作品のなかで一番共感できて、すがすがしい作品。いつも通りテンションの高さはないけれど、自分の中の「働こう」という気持ちを起こしてくれる。

『ポトスライムの舟』で津村記久子を初めて読んで、ちゃんと自分と地続きのところに小説家がいたんだと思えた。働く20代後半〜30代にとっての現実と確実に地続きである、ある職場とそこにいる人間の「とりあえず働かなければいけない」という状況と感情を、文学という言葉に一切甘えることなく、提示してくれたからだ。

氷河期世代で時代も暗く会社は余裕がなく給与は上がらず仕事は多くまともに仕事を教えられる人間は少なく同期はいつ辞めるのかわからずしかしライバルでもあったりしてまあ親友にはならないだろうし上の人間が不景気やこれまでのやり方が通用しないのを下の人間のせいにして守っているどうしようもないプライドを傷つけないように決裁を求め仕事を進めなければならず、かといって年を取れば取るほど他社の中途採用のポストにはどんなややこしい案件や人間関係があるかという想像力が発達してしまい未来に明るい要素はとりあえず見つからないけどどういう心持で仕事に取り組むべきか本や雑誌を読んで前向きに働こうと思っても日々のしょうもないことで元に戻ったりさらに悪化してしまいがちな働く我々を、津村記久子は働いている30代にしかわからない現実的なディティールを持って描き出し、そして我々を無理矢理な自己改革や妄信などではなく「とりあえず働くんだ」という気持ちにさせてくれる。

『ワーカーズ・ダイジェスト』に出てくる男女は、それなりに嫌ーな仕事の案件や人間関係を抱えており、そこから自分を守るための賢さを、諦念と緊張を持って発揮し、一方で自分を解放するためのささやかなよすがを思い出したり育てたり求めたり回復させようとしたりしている。
親兄弟以外の家族がいない30代男女が、働いて生活していくためにどう自分を保っていくか。働いていくためにどうバランスを取っていくか。我々はけっこう毎日、意識せずともそのことに腐心しながら生きている。
男女ともそれぞれに逃げ出したくなるような職場環境・他人の嫌な言動で自分の仕事や感情が乱れていく中で、ふとした時にお互いがお互いを思い出す。自分と似たささやかなよすがを持っているよな、という初対面の時に感じた匂いを、自分の状況の悪化とともに徐々に強く思い出す。
そして大阪で一番美しい場所でお互いが偶然に再会する場面。
男は転勤が決まっており、女は副業が育っている。これからこの二人がどうなるかはわからないが、このささやかな一瞬の邂逅が、今後もそれぞれが働き続け、自分を保って生きていくためのよすがになるのは間違いない。
よすがっていうのは、自分の手の中にあるものや、信念・思い込みなんかよりも、他者との深い分かち合いのほうが効力がある。それが一瞬であったとしても。

我々って勝手に書いたけど、そんなにひとくくりにできるものでもないし、私の思い込み。でも津村記久子が続けて新作を出せるのは、それを読む働く男働く女がいるからって思うと、やっぱりうれしい。「オノウエさんの不在」もすごくいい読後感だけど、「ワーカーズ・ダイジェスト」はこれまでで一番新しくて美しい作品だと思う。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 朝犬
長編『ワーカーズ・ダイジェスト』と短編『オノウエさんの不在』の二編収録。

『ワーカー』
三十過ぎの男女サラリーマンが主人公。舞台は大阪。
日々真面目に働くなか、いつしか疲れはたまり希望は減り、という日本中の多くの人々が感じるであろう、若さから中年への過渡期のある種のやるせなさを丁寧に描いた作品。近い立場の人ならだれでも共感できるのではないでしょうか。
愚痴を聞いてもらってるような、励まされてるような、仕方ねえなこいつらも真面目にやってるんだしおれも頑張るかって、そんなふうに思えた作品です。
きっと、働きながら作品を書いているという作者の、働く人間へのエールが込められてるんじゃないのかな。津村さん、ありがとう。

『オノウエ』
二十代後半のサラリーマンが主人公。前者より行き詰まり感が強い。全体にイライラの勢いで書かれたような印象。会社という組織の理不尽さ。『ワーカー』に比べて完成度はイマイチって感じがするけど、分かる分かるって思う人は多いのではないでしょうか。
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