ストーンズに密着したM・スコセッシの新作がいよいよDVD化されるが、その前にJ・L・ゴダールによるストーンズとのコラボレーション・フィルムが再販。完全版と銘打たれたのは、従来のゴダール版に製作者が商業ベースを考慮して再編集した版が加えられたのが理由だが、監督の意向ならいざ知らず、特にペアリングする意味も感じられないし、ゴダールが激怒するのは当然だが、正直両者には一見しただけでは殆ど違いはない。むしろ、演出指導や"現実"への映画の係わり合いを語るゴダールの姿が見れるメイキングが貴重。
映画は、68年ロンドン、新作アルバム製作中のストーンズのレコーディング風景と黒人過激派ブラックパンサーらによるアジテーションと寸劇をシンクロさせ、楽曲と革命の成り立ちを追った伝説の作品。当時、ゴダールもM・ジャガーもブラックパンサーを熱烈に支持していた。
全編長回しの多用だが、名曲「悪魔を憐れむ歌」誕生までの軌跡が窺えるのが、ストーンズ・ファンには何より魅力だろうが、アンヌ・ヴィアゼムスキーが狂言回し的に何度となく登場し、壁や塀にスローガンを落書きしたり、マオ主義、ボリビア革命、「我が闘争」ら政治的テキストの引用に黒人解放運動の意味と経済的根拠らがインサートされる革命劇はどう映るのだろうか?
ライブでの躍動感とは打って変わってのミックの知的で静かな創作風景と後の自殺を予見する様な淋しげなB・ジョーンズが印象的。
それにしても、40年を経た今日でも色褪せないストーンズの神話的パートと、今日では虚しく忘却の彼方の如き革命劇のパート。68年から遠く離れて、とのフレーズを感じずにはいられないが、若い世代には、これもポップと映るのかも知れない。