著者の最大の主張は「"ファンクショナルアプローチ"を理解し活用すれば、
問題解決力が向上する」ということですが、それは十分に可能だと思います。
但し、"ファンクショナルアプローチ"を活用できる状態とは、物事の見方や
捉え方が変わった状態であり、そういった「視点を変える」なんてことは、
当然ながら一朝一夕には難しく、相当の訓練と実践が必要だと思いました。
理由は、"ファンクショナルアプローチ"は、目先の「現象(事象)」に
捉われずに「本質」を捉えるということがベースとなっており、その「本質」
こそが「ファンクション(機能)」であるという位置付けであるためです。
著者も下記のように述べています。
「世の中のあらゆる製品、サービス、ビジネス、組織にはファンクション(機能)
がある。ファンクションを見抜く力を習得すれば、状況を正しく分析できる。」
つまり、本質を捉えられるようになって初めて、"ファンクショナルアプローチ"を
使えるスタートラインに立つということだと思います。
視点を変えるという点に関しては、大橋禅太郎氏の「すごい会議」を初めて
読んだときと同じような感覚を持ちました。「すごい会議」では、例えば、
「なぜできないのか?」ではなく、「どのようにすれば〜できるか?」と
物事を捉えることが重要であるというような主張がありました。
本書にも似たような要素があり、「なぜ?」ではなく、「何のために?」と
言葉を置き換えて考えるべきであるという主張がなされています。
この視点の変更の効果は、「原因」を追究(なぜ?)して過去を思い出すよりも、
「目的」を追求(何のため?)して未来に目を向けることにあります。
目の前の現象(事象)の位置付けを全体像の中で捉え、解決策を講じる際には
背景、目的を理解した上で取り組むことの重要さを改めて意識させてくれます。
また、問題解決に伴う「改善」の目指すべき方向性についても「改善した姿(状態)」
ではなく、「どれだけ良くなったか」という向上度に着目しているという点が、
一見当たり前のようでいて、実に本質を捉えていると思いました。
本書は内容の深さの割に、あっさりと読めてしまうので、読後は『分かった気』
になってしまいます。しかし、本当に視点を変えるためには、繰り返し読んで
「原理」を理解した上で、実践し続ける必要があると思いました。
そういう意味でも、本書の副題(視点を変えるファンクショナルアプローチの
すすめ)は、本書の位置付けを、うまく表現しているように感じました。