単純なアクションシーンに重点を置かず、
人間ドラマに焦点を当てた点は評価出来るし、また成功もしています。
まず、「ダブルタップ」でレスリー・チャン演じる主人公を
ラストで射殺した苗(ミウ)警部のその後が描かれている点が
実に興味深いです。
前作で彼を側で支えた女医の妻と別れ、
孤独と虚無の中で警察人生を全うしていく姿には
悲哀と同時に業が滲んできます。
特に後半、功名心から失敗を犯した新人部下を言い含めるシーンの表情には
鬼気迫るものがあります。
新人警官に扮したアンソン・リョンも、初々しさと危うさ、
自負心から生じる未熟な巧妙心をよく演じています。
女性にだらしなくいいかげんなところもあるが、
苗警部を支え、新人部下をいなす補佐役の刑事も良い味です。
予告編で「七人の刑事」という数が強調されていた割に、
他の四人の印象はやや薄めでしたが、
刑事たちの「チームプレイで事態を収束する」精神が
特に後半で深く描かれるので、決して無駄な配役には終わっていません。
刑事たちから追われる大陸出の殺し屋を演じたダニエル・ウーは、
当初はクールで都会的な容姿が田舎出の設定とミスマッチな感触も受けました。
だが、端正な風貌が清潔感を出し、
また内面に秘めた暴力性を噴出する瞬間の迫力にも繋がっているので、
これはこれで良いと思いました。
同様に大陸の農村出身の売春婦に扮したセシリア・チャンも、
社会の底辺でも失わない人の良さとバイタリティ、
そして無力感を巧みに演じていました。
しかし、「香港は夢が叶う気分にさせてくれる」
「香港はなぜ『香る港』なの。」
と語る彼女の台詞に象徴される様に、
この話の真の主人公は登場する人物たちではなく香港及びその下街旺角であり、
個別の人間関係よりも
世界一人口密度の高いこの地域で人々がせめぎ合う熱気や緊迫感を描くことが
映画の本当のテーマなのかもしれません。