先日の岩波書店の「図書」に,訳者のエッセーが載っていた。グールドが冒頭「どうぞ細部を読み飛ばさないでほしい,大筋はつかめるが,本当に大切なのは細部(節足動物の付属肢についての分析など)なのだから」とあるが,どれほどの読者が細部をきちんと読んでくれたかは心配,ということも書いてあった。でも面白かったですよ。ものすごく。かなり素人にも分かりやすく,進化について理論のドラスティックな転換を引き起こした節足動物,軟体動物たちのことが書かれている。小さな化石(偶然が重なって軟体動物の化石が現代に残された!)がいかに多くのことを語ってくれるか,登場する学者たちがいかにその化石の示す意味を読み誤り,そして改めて読み取ってきたかが述べられていてとても勿体無くて読み飛ばせませんでした。
しかし素人にはつらい部分もありましたよ。節足動物の付属肢のつき方,分岐の仕方がいかに分類において重要か,また現生節足動物ではどのような状態が通常で,それでどのような分類がなされているのか,についての背景の知識が我々には欠けていて,それを推測しながら読むのはちょっとしんどかったです。面白かったけど。
前述の「図書」には著者のグールドが脳腫瘍で亡くなったこと,涙を流しながらの最終講義のことも書かれていて,読んでいてなんだか切なかったです。研究にささげられた生涯というものもまた,すばらしいものですね。