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29 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「新渡日」文学の予感,
By ごいんきょ (大阪府) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ワンちゃん (単行本)
お薦めの小説です。
留学生として来日されて、20年ほどになる中国出身の女性が日本語で書いた作品です。 昨年、文學界新人賞に選ばれ、今年の1月には芥川賞の候補にもなったので、ご存知の方もあると思います。 内容は中国人の花嫁を日本の男性に紹介する事業を始めた中国人女性の半生記です。自身も同じような立場で来日したという経歴をもっています。詳しい内容は読んでからのお楽しみということにしましょう。 一言で言って、古いタイプの小説です。しかし、胸を打つものは普遍であるということも事実です。私は、1980年代に、「黄色い大地」「紅いコーリャン」等の中国映画に魅せられた時代を思い出しました。なぜ、あの時代、これらの中国映画が心に響いたのか。それは、私たちが、日本の映画が失ったものをこれらの中国映画に求め、そして、見つけていたからです。人生を正面から見つめる、人生を正面から描く、そんな普通のことを、日本映画は忘れていたからだと思います。 この小説も同じです。日本の小説に描かれることの少なくなった、人の人生がここにはあります。私たちは「人生」を読みたい。ともに生きたい、味わいたいという気持ちを持っています。それに応えてくれる作品です。 一時期「在日」の文学が盛んだったことがありました。(今も活躍されている皆さん、ごめんなさい)この楊逸さんの登場は、「新渡日」の文学の到来を予見させます。まだまだ書くべき素材を持っている人だと思います。これからの作品にも期待がもてます。
14 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
ここは何処?私はだれ?,
By Justin (大阪府) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ワンちゃん (単行本)
「ワンちゃん」が芥川賞候補に挙がったが、同時収録の「老処女」の方が作品としては
まとまっていると感じた。 街、ファッション、風俗、ここ十数年の韓国の変化にも驚いたが、中国のそれはもっと急激に見える。 そして、何より大きなものは人々の意識の変化だろう。 「老処女」では日本に長期留学しているうちに近代化の波に乗り遅れた中国人女性が、 日本にも中国にも居場所をみつけられなくなる様を淡々とした筆致で切り取っている。 一方、「ワンちゃん」では日本の農村部に嫁ぐ中国人女性の生活を、これまたリアルに描き出した。 いずれも共通しているのは、国から、故郷から、自分の本来いるべきだった場所/人生から はぐれてしまった女性ということかもしれない。 おそらく著者自身を投影した部分もあるのだろう。 芥川賞の選評でも多くの選者が指摘しているように、日本語表現に多少の齟齬があるのは 確かだが、内容は興味深い。
12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
中年女性の悲哀感,
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レビュー対象商品: ワンちゃん (単行本)
第138回芥川賞の候補となった作品。
日本に住む中国人女性が日本語で書いた小説です。 表題作で候補となった作品「ワンちゃん」 執拗に付きまとう元夫から逃れるために、日本人男性と結婚した女性「ワンちゃん」が主人公です。 夫との上手くゆかない関係から独り立ちしようとした主人公が選んだのは、中国と日本の架け橋としての結婚紹介業です。彼女の企画した試みの中から、数組のカップルが出来るのですが、その世話をする内、中の一人と良い感じの関係になるのですが・・・。一方で、姑の世話をし、彼女を見取ることになり、とめどなく涙を流します。彼女の心に何が起こったのでしょうか。 失敗続きの結婚と何のために一生懸命生きているのかという疑問が、彼女を苦しめています。唯一見出した生きがいは姑の看護であり、それが終わった時、彼女に一体何が残ったのでしょうか。 只管走り続けてきた中年の女性の悲哀がひしひしと伝わってくる作品です。しかし、ラストの処理の上手さでしょうか、暗くなるような作品にはなっていません。 書き下ろし作品「老処女」 偉くなるために生まれたのだと信じ込まされて育った主人公が、仕事と私生活でのた打ち回るような生活ぶりがユーモラスに描かれています。 時代の間に落ちてしまった中年女性の悲哀を感じます。
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