マグロ漁船が舞台と知って最初はひきました。
だって荒くれ男たちのねっとりした汗や魚のすえた匂いを想像しちゃったんですもの。
しかも表紙の男には、無精ひげと腕毛も描かれていますし。こんなBLあり!?
でも、無精ひげ男は高階佑さんの手にかかってむさ苦しさが
半減されていますので、この美麗なイラストがあれば、
なんとか読み進められるだろうと思って読んでみることに。
いやいや思っていたより面白かったです。
舞台は船内だけにとどまらず、寄港地、海の中と空間的に広がりがあります。
ハラハラする場面にも事欠かないので飽きません。
ある事情から受けの美青年は嫌な船員に体を差し出すことになるし、
荒れ狂う夜の海での巨大マグロとの格闘あり、寄港地での銃撃戦あり。
一息つくと今度は船を翻弄するシャチの群れと緊張の対峙。
そうしたエピソードを通じてマグロ漁法とか海の男たちの生活事情などが
くどくならない程度に解説されていて結構面白いです。
そしてこの間、主役の二人は着実に愛を育んでいきます。
濡れ場もしっかり複数回あって、そういう意味でも大満足。
登場人物の中で容姿端麗なのは受けのみです。
攻めの無精ひげ男は完全にエロ親父ですし、他の登場人物も普通のオジサンとかオカマとかそんなのばっかり。
でも、彼らのやりとりはコミカルで面白いし、各々いい味を出しているので愛着が湧きます。
少しひっかかる部分があるにはありました。
実際はあんなに簡単に事が済まないんじゃないかなぁとか。
でも、そういう疑問が雲散霧消するほどダイナミックで
力強いストーリー展開にぐいぐい引っ張られて読み終わりました。
終盤には、群青色の大海原で陽光を浴びながらゆったり揺れる大船、
潮風の匂いを想像してスカーっとした気分になりました。
こんなに爽やかな気分になるとは、読む前は思っていなかったです(笑)。