ワインと言えば、ボルドーの5大シャトーがどうかとか、ビンテージがどうかとか、とかく平坦な知識が先行しがちであるが、本書はそういった"ワイン通"に対しても衝撃的な世界を提示してくれる。
まず、一国の元首が国賓を招いた晩餐会によく耳にするような1級のワインは予算の関係から供されないことが多く、2級、3級や時にはそれ以下のクラスから極上のものが選ばれる、という事実。
名声よりも実力で酒を評価し、賓客もホストの選択の手腕を値踏みする。そんな丁々発止の舞台に更に、料理との相性やワインの産地、二国間の関係など様々な明示、暗示の思惑が加味されながら世界中で深遠な外交が展開されていく。
取材は丹念であり、日々繰り返されていくような歴史的事実に味わいを与えてくれる。
料理と酒をふるまうことの意味を考えさせる良書である。