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抗日宣戦や、共産党と国民党の内戦の中に生きた祖母や母の時代も凄まじかった。それよりとんでもなかったのが、毛沢東による「大躍進」や「文化大革命」で大混乱に陥れられた著者本人の時代だ。
毛沢東時代の描写に、北朝鮮の金正日体制を連想する方も多いと思う。つい最近の1970年代まで、中国ではそれに近い政策を敷いていたのだ。
大躍進の失敗で辛酸を舐めた毛沢東は、あえて国民を混乱に陥れることで自分の身を保つという考えで「文化大革命」に走った。文化大革命は、カードゲーム「大富豪」の「革命」(大きな数字が突然弱者になる)を中国全土で本当にやってしまったようなもの。学校で教鞭をとっていた教師が突然教え子から辱めを受ける。共産党幹部も部下たちから非国民としての謂れのない汚名を着せられ、次々と殺されていく。毛沢東はこうした人災を自分の保身のために演出したというのだから、空恐ろしくなる。独裁的な組織の場合、トップの意思判断が乱れるといかに下にいる多くの人々が混乱するか。その典型とするにはあまりにも規模が大きすぎる。
中国の大混乱期には、会議の外国人も中国国内に行くことはできず、国民も情報を統制されていたから、その全体像を語れる人物はほぼいないらしい。著者は一中国人として、その生活レベルから見た中国を、家族との絆を軸にありのままに伝えている。中国全体がどんな状況だったかを把握するにはそれだけで十分だ。
読後には清々しさも残った。かつての体制がいまは崩れているということへの安堵感からくるものがひとつ。それから、造り出された憎しみあいの時代の中でも、信念を曲げずに公平・正義・優しさ・愛情をもって生き抜いた人もいたということからくるものだ。とりわけ著者の父の生き方に、それを強く感じた。
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