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ゲーテの秘書の目から見た彼の天才ぶり、余りにも偉大な父親を持ってしまった息子ゲーテの苦悩と誇り。その息子と、愛と言うよりは慈悲の心から結婚をしようとしている女性の親友の嘆きーなどなど。天才というもののすごさと、周りにおよぼす災禍。下巻に入って、やっと当のゲーテが登場して、日常の悩みや過去に付いて色々と繰り言をいっています。どうも、これは晩年ゲーテにいれ込んでいたトーマス・マンの"ゲーテとは何ぞや?"という自問自答のような気持ちから書かれた作品のような気がするのですが。
もっとも、ゲーテの生涯に付いて随分細かく調べ、実話と虚構を巧に織りまぜる手腕はすごいと思いますし、マン一流の多角的な観察眼よってとらえられたゲーテ像は魅力的だし、何よりその天才と周りの人々の齟齬ぶりが、あたたかいユーモアで捉えられているいる辺り、とても面白い小説だとは思いますが、やはり、これからマンの小説を読んでみようという人にはお勧めしがたい作品だと思います。月並みな意見ですが、同文庫におさめられている、トニオ・クレーゲル""ベニスに死す"辺りから入るのがいいと思います。また、"トオマス・マン短編集"にも優れた作品が多くおさめられていると思います。
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