この破格の値段の安さの理由は本編の短さ故であり、上映時間じつに46分。タルコフスキーのデビュー作&卒業制作ということで、どこまでやってくれるかな?とほどほどに期待しましたが、こりゃ参った。完全に思わぬ方向から痛恨の一撃を受けてしまいました。これはイイ、フランダースの犬的(あんなに悲しい話じゃないけど)ふんわりした優しさで胸がいっぱいになってしまいました。この監督が後に「ノスタルジア」や「サクリファイス」にまで続くんだなぁ、っとあらためて映画という物の面白さ、奥深さ、予測出来なさにもジ~ンときちゃいました。
この映画、間違いなくタルコフスキーの原点です。鏡、水、瓦礫、霧、自転車、子供、クラシック、オルガン、ミサイルor戦闘機の疾風音、主人公の少年と工事現場のニイチャンの間柄は「僕の村は戦場だった」の少年主人公と青年将校の間柄にも似ています。ただこの映画が唯一これ以降の作品らと違う点は、とっても分かり易いということと、とってもハッピーエンドということ。なんか工事現場の二人の恋物語の始まりなんかはロシア版「黄色いハンカチ」といった感じ。
しっかしデビュー作だけあって「手ぬるさ」も一際光っております。悪がきのチャリンコが壊れたときにそのチャリンコのベルが転がるんですが、その時ベルを転がすスタッフの手が見えちゃってる。それから物語の始めのイジメっ子たちのやりとりなんかも民法の低予算ドラマの出だしみたいでホント笑えました。しかしまあ、あの主人公はじめ子供たちの演技が愛らしいですね。それから工事現場のニイチャンもすげぇイイ奴だし。もうなんかベネトン監督の「クレイマー・クレイマー」を観終えたような感動に包まれて、つい目頭が熱くなってしまいました。タルコフスキーがこういう映画からスタートしたと思うと、どこか救われた感があります。