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著者は教皇ピウス12世がナチスを増長させるまでに沈黙を守った理由を、1教皇が個人的にドイツに強い愛着を抱いていたこと、2ナチスを共産主義に対する防波堤として評価していたこと、3軍事力を持たない教皇庁としてはナチスから攻撃されないように立ち回ることが賢明だと考えたこと、にあると見ています。
これらはあくまで教皇個人の考え方であり、当時の教皇庁の統一見解ではないことも本書には書かれています。むしろ教皇の周囲の人々は彼に対してナチス批判の声明をカトリック世界の最高権威として発することをしきりに懇請・進言しているのです。にもかかわらず教皇は戦後に至るまで沈黙を守ってしまいました。ドイツの政策に強く反対していた前任者のピウス11世の在位期間がもう少し長ければ、教皇庁の態度は大きく異なっていたし、教皇の存在がナチスに対して非常に有効な歯止めになりえた可能性はあったという意を強くしました。
教皇庁という組織の長と構成員の双方が優れていれば、時代の荒波に流されることなく芯の通った行動をとることは出来たでしょう。
諭す人、止める人、諌める人の声に組織の長が謙虚に耳を傾けることを忘れた時に悲劇は起こる、という視点で本書を読めば、ピウス12世とナチスの関係から現代の読者が学べることは多いはずです。
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