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8 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
学術専門書の鑑,
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レビュー対象商品: ローマ帝政初期のユダヤ・キリスト教迫害 (単行本)
帝政初期、なにゆえにローマ帝国はキリスト教およびユダヤ教を迫害したのか。この問いに対する一つの緻密な鳥瞰図を、本書は見事に描き出している。 そのために費やされた学問的労力、史料分析に要求される語学的修練の深さ(著者は英独仏伊希羅のみならずヘブライ語文献も取り扱っている)、そして何よりも吟味された学問的方法論の確かさ(ローマ史、キリスト教史、新約学、文献学の方法論を本書は総合的に再構築)。600ページ余におよぶ本書の重さは、それらを如実に物語る。 本書の独創性は以下の点に求められる。 1.迫害原因論と法的基礎論を分離して考察し、後者の基礎の上に立って前者を論じたこと。迫害現象の背後にある人間心性の醸成過程を仔細に分析し、キリスト教という外来宗教に対するローマ元老院の応答をローマにおける文化的ナショナリズムの形成発展過程の中で考察したこと。2.キリスト教のユダヤ教からの分離過程を綿密に分析することで1世紀迫害の特徴を捉えたこと。3.導出された見取り図に関して、研究史を顧みながら更なる検証を個別的に展開したこと。即ちティベリウス帝からマルクス・アウレリウス帝に至る諸皇帝がユダヤ・キリスト教徒に対して如何なる態度を示したのか、その仔細を個別的に文献学的に考察したこと。そして何よりも 4.研究史に対する緻密な批判的考察を加えることで、従来の通俗的な謬見の発生原因を突き止めたこと。等々。これらの諸成果はすべて綿密な学問的論証作業の上に構築されており、その説得力の確かさは後世の研究者の糧になると思われる。 奇しくも本書は19世紀の碩学モムゼン没後100年目に刊行された。本書に盛られた学問的果実はモムゼンに捧げるに相応しい。
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