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ローマ人の物語 (15) ローマ世界の終焉
 
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ローマ人の物語 (15) ローマ世界の終焉 [単行本]

塩野 七生
5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (27件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ローマはいつどのようにして滅んだのか。一千三百年に及ぶ巨大帝国の興亡のドラマを描き尽くした最高傑作シリーズ、ここに完結。

内容(「MARC」データベースより)

歴史に比類なき大帝国は、いつ、どのようにして滅んだのか-。ローマが「なぜ」よりも「どのように」衰亡していったのかに重点を置いて描く。1300年に及ぶ古代ローマ興亡のドラマの完結編。

登録情報

  • 単行本: 423ページ
  • 出版社: 新潮社 (2006/12)
  • ISBN-10: 4103096241
  • ISBN-13: 978-4103096245
  • 発売日: 2006/12
  • 商品の寸法: 20.2 x 15.2 x 3.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (27件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
 塩野氏の「ローマ人の物語」における最大の偉業は、キリスト教史観や、フランス革命の理念や、民主主義=絶対善といったフィルターを一切排した所にある「ローマ帝国の偉大さ」を描ききった点だろう。

 現代では稀となってしまった多神教社会を維持している日本人だからこそ「ローマ帝国」を語ることが出来たのだろうと思うが、同時に、多くの「日本人」が持っている既成概念に対して相当に挑戦的な視点の描き方でもあったとも思う。

 日本人は、キリスト教史観こそ持ってはいないが、以前から塩野氏が鋭く批判している「民主主義=絶対善」とか「自由・平等・博愛の理念に対する妄信」とか「武力=絶対悪」「帝国=絶対悪」という考え方は相当に持っている。日本人一般には嫌われているマキァベリの言葉を何回も引用しながらも、塩野氏はローマ人の「所行」を通して15年間、日本人の「常識」に対して辛らつなメッセージを送り続けたのではないか。

 ローマ帝国に批判的な人々が語るように、ローマ帝国も決して悪や矛盾が存在しない完全無欠な天国だった訳ではない。しかし、「ローマ人の物語」を読了して感じることは、それらの欠点を承知してもなお、ローマ帝国は偉大だったのだいうことだ。

 多数の民族、宗教、文化が共存できるスタイルを、ローマ帝国は作り上げた。勿論、「帝国」という単語自体に拒否反応を示す人々が主張するように、その過程で敗者への弾圧や流血が全くなかった訳ではない。民主主義的な国家であった訳でもない。それでもなお、ローマ帝国が築き上げた「多宗教・多文化・多民族がローマ法というルールの下で共存共栄できる共同体」という形の帝国は、大英帝国も、アメリカ合衆国も、歴代の中華帝国も決して実現することが出来なかったものだ。

 ローマ帝国の偉大さは、ローマ帝国への賛辞が同時代の敗者から送られたという1点からも語れる。

 ローマ人の自画自賛ではない。作中何度も引用されたように、征服され、敗者となった人々がローマ帝国の寛容、多様性、そして平和を讃えた。この15巻にも、劫略されたローマから脱出するガリア系ローマ人の詩が紹介されているが、彼は自分がかつてローマに征服されたガリア人の子孫であるとしながらも、自身がローマ人一の1人であることに無限の誇りを持ち、滅び行くローマ帝国への哀惜を惜しまない。

 征服された元敗者からこのように哀惜され賛辞を贈られた大帝国が、果たしてローマ以降に存在してだろうか?(朱子学以前の中華帝国がかろうじてそれに近いくらいか・・・)

 

 民族の違い、宗教の違いを理由に殺し合うことが当然になっている現代までの歴史(※多くの日本人は、現代の現実も未だにそうなのだという実感に薄いが)を省みたとき、ローマ帝国が成し遂げたことの巨大さに気が遠くなる思いがした15年だった。
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79 人中、71人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
虐殺・略奪・暴行・劫掠・都市抹殺・民族浄化・農地の砂漠化・海賊行為
優秀な能力で私腹を肥やす官僚機構・過酷な重税・農奴と化す自作農の人々
神を愛するあまり人を憎む一神教・破壊の限りを尽くす宗教紛争・・・
いつのまにか消え去るローマが霞んでしまうくらいの、
目を覆いたくなるような第15巻だった。
世界標準ではこれが普通の歴史なのだろうか。
日本の歴史というのは特殊なのだろうか。

***
ところで、この15年は至福の15年だった。
読了した瞬間から早くも、次の巻が待ち遠しくなる。
まるで、小学館のまんが日本の歴史(児玉 幸多, あおむら 純)
の次回配本を心待ちにした、少年の頃に戻ったかのようだった。
小学館の日本の歴史は月に一回の配本だったが、ローマ人は年一回である。
いろいろと想いを巡らせた。
表題はどうなるだろう。表紙は誰になるのか。どの肖像を使うのだろうか。
あの人物はどう描かれるのか、ゼノビアは、ユリアヌスは、・・・
かの事象はどう扱われるのか、作者の解釈は、文章力による料理法は・・・
できれば、いろいろ文献を読んで予習したかったが、
この15年、ぐっと堪えて、殊更に何も読まないようにした。
新鮮な、まっさらな状態でローマ人を読みたかったからである。
誘惑と戦いつつ、受験レベル程度の最小限のカタログ知識に留めるよう努めた。
だから、毎年の濃い内容が面白いの何の(笑)
そして出版の2〜3カ月前にもなると禁断症状がでてくる。
「まだか」「ローマ人はまだか」「はやく読ませてくれ!」「もう限界だ」
こうして待ちに待って、満を持してローマ人を読む。そんな15年間だった。

また、少なくない人が本書から人生のヒントを得たと確信する。
私個人も、仕事に、プライベートに、多くの知恵をいただいた。
平成17年当時、小泉純一郎総理は解散総選挙に打って出たが、
ローマ人の読者なら、どこかで見た光景と思ったはずである。
元老院議決を諦めた執政官カエサルが、ホルテンシウス法を根拠に市民集会で
ユリウス農地法を強行突破したあのスタイルを、一つの参考にしたのではないか。
ちなみに小泉前総理は塩野先生の大ファンだという。

塩野先生の自益、関係者の他益、多くの読者の公益、見事に適う15年だったと思う。
知性、説得力、肉体上の耐久力、自己制御の能力、そして持続する意思、全てが
揃わなければ有り得ない15年でもあったと思う。(作家にも必要な資質だったのだ)
カエサルなら「七生、お疲れさま」「体調は大丈夫?」と、ハグするのではないだろうか。
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26 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
最終巻なので、本書の記述内容に限らず全15巻を念頭にレビューします。

というのもこの小説で一巻だけ読む人はほとんどいないと思いますので。

本シリーズの一番の特徴は非常に丹念に資料を調べた上で書かれた「小説」

だということ。そしてこの構図を最大限に利用していることにある。

歴史書は、起きた事実は書けても背景の人物の心理、思惑などは、

資料の裏づけが無いために書けない。しかし小説であれば書くことが

可能だ。

「塩野流解釈」の特徴は、日本人であるためかキリスト教の価値観に

囚われていないこと。マキャベリズム的視点から、”政治的正しさ”の

偽善に陥いることなく、統治者の行為を善悪と切り離して切っ先鋭く

評価すること。

表現の上では、大胆なアナロジーを多用し現代の読者にイメージ

しやすい表現に勤めていること。なによりも、視点が15巻通して

ぶれないこと。

著者は説得力と整合性のある塩野流解釈を大胆に提供することで

無味乾燥な歴史的事実を有機的で興味深いものとして提示する。

本書を読みながら、パンとサーカス、多神教と一神教、帝政と共和制、

あるいは政治とは何か、人間には何が必要かなどについて考えを

巡らせるのは知的興味をそそる稀にみるエキサイティングな体験だ。
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