「下」では、キリスト教の国教化を推し進めた高級官僚上がりの抜け目ないミラノ司教アンブロシウスが描かれる。「異教」と「異端」の違い、三位一体派とアリウス派の違い、多神教と一神教を代弁するシンマクスとアンブロシウスの」論戦等々、キリスト教信者でない者にとっても興味を引く話題が尽きない。
テオドシウス大帝によるキリスト教国教化が388年、その後、大帝の死によるローマ帝国の東西分割が395年、その間の393年はオリンピアの競技会の全廃を決めた年であり、「ギリシャとローマの文明が公式に終焉した年」といわれている。
もっと言うなら、これ以降、カトリックの坊主が皇帝以上の権限を握ることになるのだ。あの中世の「カノッサの屈辱」と同じようなことが既に行われているのだ。
本書では塩野氏が自身の地獄観も述べており、いよいよローマ帝国最終章へと引き継がれていく。