この一冊はコンスタンティヌスとキリスト教に尽きる。
コンスタンティヌスほど冷徹に宗教の上で二枚舌を使える人も珍しい。
ただし後のキリスト世界からの資料だけに頼った記述がほとんどなので著者も述べている通りなぜにコンスタンティヌスがそこまでキリスト教を先導していったかは定かではない。
自分の息子と后妃の不義の関係に対する著者の記述は味わい深い。
「中年の女の恋は、若い女のように夢からではなく、絶望から生まれるものなのである」
こういったところは女性作家が故の面白さだ。
単なる人間同士の争いであれば利害で決着が付き争うことが損とわかると自然と収まる。
が宗教を旗印にしだすと問題は常に複雑化する。
という現代まで通じる問題の下地を作ったのがコンスタンティヌスだった。