古代ローマのインフラストラクチャー(社会資本)のみにテーマを絞った一巻、文庫では上下巻です。上巻冒頭部分で、筆者は「読みづらいだろうが、辛抱強く作品につきあってほしい」旨かなり心配して述べていますが、大丈夫。これまでこのシリーズを読み進んできた人なら、何の苦労もなく読めるはず。むしろ、古代ローマ人をより生き生きと感じられるようになるんじゃないかな。
街道網や水道といった「モノ」に語らせることで、ローマ人の思考や民族性が眼前に立ち上がってきます。この快感、学生時代に何度も読み返した、同じく塩野さんの『海の都の物語〜ヴェネチア共和国の一千年』を思い出しました。
イタリア旅行に行くのなら必ず、いやいや、フランス・スペイン・イギリス・ドイツ、西アジア‥‥かつての帝国領内を旅する人も、ぜひ一度読んでみてください。旅先で目につく遺跡の印象ががらっと変わること、請け合いです。
さいごにもう一つ、これだけ図版とカラー写真が入って、安いですよ。