前帝トライアヌスを代父とするハドリアヌスの治世を描く本巻。
塩野氏は、ハドリアヌスに対する同時代人や歴史家の「疲れを知らぬ働き者」「機能と効率の信奉者」「天才的オーガナイザー」などさまざまな評価を紹介しながらハドリアヌスの人間性とその業績を浮き彫りにしていきます。
その治世21年のうち14年を帝国各地の巡行にあてた皇帝。それは、現代の企業の社長が現場を廻るような「視察」というレベルではなく、国境防衛線の強化・再構築の陣頭指揮など極めて精力的な仕事ぶりが印象に残ります。そして長い歴史の中で運用されてきた法の再整備を行い、整理した大事業。塩野氏はこれを評して「ローマ帝国を真の意味でリストラした人」と論じます。
就任直後の不人気から、その業績で評価を上げたハドリアヌス。その変遷がよく分かる内容になっています。