ローマ人の上流・庶民の生活を視覚的に再現したTVドラマ・シリーズ「ローマ」には目を見張りましたが、その生活面の描写に関して「ローマ」がいかに時代考証を行ったものであるかが本書でよくわかります。ローマの歴史自体は第1章であっさり紹介されているだけですが、全体の半分に多数の彫刻・遺跡・絵(後世作のものを含む)のカラー写真を多数配して「素顔のローマ人」「都市の世界」「神々と信仰」「娯楽と市民生活」「ローマ文化」の章を立てています。白黒写真が多く、相対的に庶民の生活にあてた説明が少なかった塩野七生氏の「ローマ人の物語」の読者には格好の副読本になるのではないでしょうか。
本書の最後約1/4は資料編「ローマ世界の諸相」として「ローマ美術(3頁だが監修者直筆)」「パンとサーカス」「ローマ社会の階段をのぼった男」「多神教からキリスト教へ」「古代ローマ軍団」「帝国の言語−ラテン語」「ローマの市民権」を、文章主体で、「ベン・ハー」や「サテュリコン」等の映画のカットを含む白黒図版を交えて説明しています。
一部翻訳が怪しい箇所はありますが、総じて文章に読みにくさは感じません。しかし、本書の魅力は何といってもローマ人の素顔に接することのできるカラー頁の多さ。手に取りやすいサイズで気軽にカラー図版を楽しむ本として評価すべきでしょう。