単行本が文庫本になるとき、内容が増減・一部改訂されたり、文庫本あとがきが追加されることが時々あるが、この文庫本にはそのようなことはなかった。私はひょっとしたら「英雄の通信簿」が拡充されているのでは、と期待したが、それもなし。
本書の内容は「パクス・ロマーナ」までの「ローマ人の物語」シリーズのダイジェストとそこから日本が教訓として汲み取るものをまとめた章と、指導者に求められる5つの資質に照らして採点した「英雄たちの通信簿」からなる。採点される英雄はマルクス・アウレリウス帝までで、点数の理由の説明はティベリウス帝まで。私はこの通信簿及び採点理由の解説の続きを期待しているのだが、この文庫本はその期待に応えてくれるものではなかった。という訳で、既に単行本、またはそれと内容面で差がなく、むしろ楽しいおまけがついている
痛快!ローマ学を既に所有している人はこの文庫本を改めて買う必要はないだろう。
ダイジェストの部分は、「ローマ人の物語」シリーズを読んだ人にはおさらいに、そうでない人にはシリーズの骨格を教えてくれるので、意義はある。通信簿は塩野流リーダー論が展開されて秀逸。よって単行本または
痛快!ローマ学を未読の人には本書を薦められる。
しかし、ローマ帝国の絶頂期〜衰退からも日本の現状、あるいは辿るべき道は見えてくるはず。本書の続編を早く読みたいと思う人は私だけでないだろう。