売野さんが描き出す、どこか懐かしい感じがする短編集
表題作『ロンリー・プラネット』と『その子ください』の二本立てです。
『ロンリー・プラネット』は、人と人との繋がりを夜空の星に見立てて綴られている作品。
見た目以外取り柄がなく、自分の中身がない事に悩み、青春時代の思い出に淡い期待と憧れを持っている主人公。
ひょんな事から有名な占い師である姉に間違われ、偽占い師として客の相手をしなくてはいけないことに…
人は星の数ほどいるけれど、自分はいったい誰とどんな関係を結んで生きたいのか。
占いという導入から始まりますが、ストーリー自体は主人公・常盤一郎とその周りの人間模様です。
結婚できないフライトアテンダント・誰にも言えない思い人がいる少女漫画家・そして一郎の初恋の少女…
様々な人の出会いと出来事によって、それぞれの止まっていた心の時間が動きだす様を、切なくも温かく描かれています。
『その子ください』はしっかり者の小学生枇杷子(びわこ)と彼女の家族をめぐる秘密についての物語。
ある日、自分の父が母以外の女性と楽しそうに食事をしているのを見てしまった枇杷子。
そのことを母に報告するも、聞かされた本人はまったくそれを気にしていないようで…
家族や家庭って、いったい何をもってそう呼ぶべき物なんでしょう。
血のつながり、共に過ごした時間、書類上の問題…諸々要素はあるけれど…
恋愛とは違い、子供の頃感じたことがある優しい愛についての作品でした。
*ちなみに、枇杷の花言葉は〔ひそかな告白〕という意味もあるそうです。
人は確かに孤独だけれど、きっと誰かと繋がっている。
2作とも、そんな人と人との絆を思い出させてくれる素晴らしい作品でした。
大人になった少女のための少女マンガです。