この本に取り上げられる3つの裁定取引のうち、一つ目の「ロング・ショート戦略」は株式のサヤ取りで、これは個人投資家でもできます。ただし、ここで取り上げられている手法の増し玉、それに伴う損切りはかなり資金的に余裕のある人でないと実行が難しいレベルです。
二つ目の「マーケット・ニュートラル投資法」は「割高グループと割安グループに分けての運用となるので、最低でも割高グループ30銘柄、割安グループ30銘柄程度で運用することになります」(p.137)。
また、三つ目の「マーケット・フォロー投資法」は「買いポジションと売りポジションに分けての運用となるため、最低でも60銘柄から100銘柄程度で運用することになります」(p.186。要するに買いグループ30銘柄から50銘柄、売りグループ30銘柄から50銘柄ということ)。
普通の個人投資家で、買いグループ、売りグループをそれぞれ30銘柄から50銘柄売買できる資金のある人はどれほどいるでしょうか。仮に平均株価500円、1単元1,000株、30銘柄買うと1,500万円必要です。著者は買いも売りも信用取引で行うことを前提としているので、まあ両建てするのに1,000万円は証券会社の口座になければなりません。それでもかつかつです。余裕を持たせるにはあと500万円から1,000万円ほどプラスする必要があるでしょう。
これは厳しい手法ですね。資金の乏しい個人投資家にはちょっと無理というところではないでしょうか。一つ目の手法だけはできそうですので、星を二つとしておきます。