NHKで沢田研二が岸部一徳(サリー)森本タローとともに作った歌を披露した時、胸を突かれる思いにとらわれた。
タイガース解散と同時に芸能界からふっつりと消えたピー。
のちに慶応大学を卒業して慶応高校の教師になっているという消息を知らされた。
高校に復帰し難関校に挑戦して合格し教職の道を選んだ彼には素直に拍手を送りたい。
人気絶頂を経た彼がどれほどの決意と不屈の精神力で新たな道を歩いてきたのかを思うと感銘を受けるし、芸能人的な安易な生き方を選ばなかったことは素晴らしい。
その教師という職業柄、芸能色は避けたいところであるというのは理解できるのだが…。
かたくなに過去を否定するような生きざまは彼が負った傷の深さを勝手に想像させて哀しかったし、ピーの存在を懐かしむことすら許さないのかなあとさびしい思いも多々あった。
だから、NHKでジュリーが切々と歌い上げたピーへのメッセージが胸に染みた。
何があったか知らないが、もう一度会えたらいいのに、と願った。
まるでおとぎ話のように、そのメッセージが届いたらしい。
歌への返歌がこの本だ。
還暦を過ぎて再び巡り合ったおじさんたちの同窓会は5時間に及んだというくだりに安堵するとともに、微笑ましくて、もやが晴れたような気分になった。
タイガースの中で一番あどけない顔をした少年だったピー。
たしかにあまり芸能人的な器用さが無く、イメージに反して気難しさを感じさせる言動もあったが、その何をしてもぎこちないところがファンに受けていたような気がする。
それは歳月を経ても同じだったようで、この本も器用に書けているとは言い難く、文学部の割にはあまり文章も達者とは言えない。
それでも、訥々と生きたピーの人生がそこにある。
疑いようもなくそれはあの瞳みのるそのもの、まるごとピーで安心して、おかしくなって、懐かしかった。
そして、この本であの中井マネージャーの公私に及んだ深い愛情やその思いを知ることができてよかった。