ご存知レイモンド・チャンドラー原作、私立探偵フィリップ・マーローの物語。
だが、「ギムレットには早すぎるね」の台詞は登場しない。
アルトマン監督は、チャンドラーの原作からタイトルと着想だけ頂いて換骨奪胎、巧みに別の物語に仕上げている。
映画では良くあることで、目くじらを立てるのは野暮というもの。
チャンドラー・ファンも硬いことを言わず、別のお話と割り切って楽しめばよい。
独自の雰囲気をたっぷりと持つ佳作である。。
マーロー役は、過去にハンフリー・ボガート、ロバート・ミッチャムが演じているが、本作のエリオット・グールドがベスト。
「マッシュ」の時のもじゃもじゃ頭にひげ面のふてぶてしさではない、ハードボイルドな、つまり、
やせ我慢でも自分を貫く孤独でタフな男の雰囲気を実に良く醸し出している。ただ、ちょっと、タバコ吸い過ぎ!
ヘミングウェイを連想させる書けなくなった酒浸りの作家をスターリング・ヘイドンが演じており、すごい存在感。
この人、ハリウッドの赤狩りに協力したことを生涯悔い、自己批判している。
そこがエリア・カザンとは決定的に違うところ。この巨漢も、”弱くて強い”人なのか。
「博士の異常な愛情」の怖い将軍、「ゴッド・ファーザー」の悪徳警察署長、どれも見事な演技でしたね。
シュワちゃんが台詞なしのチョイ役で出ているのもお楽しみ。
同じくチャンドラーの「さらば、愛しき女よ」(マーロー役のロバート・ミッチャムは、なんぼなんでも老け過ぎ!)でも、
シルベスター・スタローンがチンピラのちょい役で出ていて、マッチョ二人のなんとも面白い符合である。
こんなのを見つけるのも映画の楽しみのひとつ。