「浅川マキの歌を東京・新宿の「蠍座」で聴いたのは、1968年のことだった。(中略)ライブの後、私は雨の中を泣きながら歩いた。それは嵐のような時代の中を生き抜こうとしている者たちの心の底をうずかせる、重くきっぱりとした反世界の歌だった」(本書より、加藤登紀子「反世界の表現者を全う」。
黒のロングドレスに黒のブーツ。デビューから42年間、浅川マキのステージのスタイルは一貫して変わらなかったが、ブルース、ロック、フリージャズ、パンク‥‥とマキの歌は絶えず「深化」し続けた。ナツメロ歌手に堕することなく、常に最前衛の歌手であり続けたマキこそ真の意味での「ワン・アンド・オンリー」=不世出の歌手というべきだろう。駆け出しの時代からの盟友・亀淵友香の追悼文が胸に迫る。