読者の知識が問われている、そんな珍しい、凄い本だ。第二次大戦の日独間の軍事技術から始まる話がいつしかユダヤ人の系譜を背負う渡来人としての日本人が抱く国家観へ。戦後日本から現代に至る流れを作り、不思議とその展開に読者の私は乗っていた。舞台の半分が戦時下のドイツ、フランス。しかも詳細な記述はリアルだ。「これって、やはりホントの話?」と、ふと思い始めた。小説でありながら、註が入り、解説を読むとドキュメンタリーのようだ。作者が用意した仕掛けにはまる。サブタイトル「神はこの国を救い賜うや」とは、最終章を読み、そこに作者が投げた今私たちが立つ日本という国、そして日本人への問を否応無く考え・・・そして納得させられる。「あとがき」から取材力ともいうべきものの「力」がいかに重要かわかった。とにかく薄っぺらな話ではない。読後、「凄いな!」と、思わずうなずいた。
「北緯34度32分」上の宗教施設がキーワードになっているが、大日本地図をめくって驚いた。検証すると、記述どおりだった。ユダヤ人、フリーメイソンらしき団体、英国陸軍の記述も詳細だし、その暗闘が面白い。勉強になった。若い人に読んでほしい。戦争がわかる。陸海空に生きる人間がわかる。そして、戦争の世紀の果てに待っている「神」の存在みたいなものを意識し始めるだろう。一つの問題点は、校正ができていない。これがマイナス点だ。これだけの話だけに残念。出版社は校正しなかったのかな?