過去に犯してしまった罪をつぐなうとしたら、あなたならどうしますか?しかも、罪をつぐなうべき相手がすでに亡くなっていたとしたら・・・。(仏壇に線香をあげることぐらいしかできそうもない)そんな一見不可能な命題に対して、ダルデンヌ兄弟が導き出した回答は、カンヌでも高く評価され本作品は見事脚本賞に輝いている。
アルバニア移民のロルナ(アルタ・ドブロシ)はベルギー国籍を得るために、麻薬中毒のクローディ(ジェレミー・レニエ)と偽装結婚をしている。お金のために割り切った関係を続けていたロルナだが、麻薬を断ち切るために自分にすがってくるクローディとの間に次第に愛が芽生えていく・・・。
映画中盤にして、ロルナが関与していた計画があっけなく実行に移されるのだが、本作品はここからがクライマックスとなっている。ロルナに訪れる体と心の変化そのものが、(愛というよりは)利用したあげく結局は救えなかった男に対する“贖罪”として描かれているのだ。その罪の償い方は、多分に一人よがりで自己満足的なのかもしれないが、観客のシンパシーを得るにはおおむね成功しているといえるだろう。
少女のついた嘘が原因で引き裂かれた愛の償い方が見所であったキーラ・ナイトレー主演の『つぐない』とある意味同じシナリオだが、より女性の本能に近い形で描かれるこの映画の贖罪は、観客の目にはより純粋に映るはず。まるで当然のように存在する社会悪にならされてしまった我々は、ロルナの祈りにも近いモノローグに神々しさすら覚えるのだ。