「ロリータ・コンプレックス」がナボコフの小説『ロリータ』に由来することを知っている人は多いと思う。そのいっぽうで「ロリータ・コンプレックス」の概念を導入したのがトレーラーであることを知っている人は少ないのではないかと思う。
トレーラーはロリータ・コンプレックスを少女性愛者(本書では「ハーバート族」と呼称)の問題ではなく少女(「ロリータ」と呼称)に着目して論じている。現在ではロリータ・コンプレックスは少女性愛者の問題としてあつかわれる嫌いがあるが(日本語で「ロリコン」と表記した場合は特に)、ただトレイラーも指摘するように児童売春は古くから存在し少女たちは叩き込まれた「性技」を武器に自らの欲望を満たさざるを得なかったという事実がある。そしてトレーラーはハーバートとロリータの利害関係が存在する限り法的に規制したり、精神分析のような科学的方法で撲滅することはできないと述べる。
本作はトレーラーによる事例の集積であり通俗的な児童買春の問題をあつかった書籍とは一線を画している。トレーラーは社会通念を持ち出して「ロリコンはいけないことだ」と頭ごなしに否定しない。ただ集積した事実から「ロリータ」は存在し続けると述べるのみである。
最後に本書には少女性愛について生々しく紹介されており、(筆者もそうであったが)嫌悪感をもよおす方も多いと思う。読む際は相応の覚悟を持って望んでほしい。