「ロボットは戦争というゲームのルールを根底から変えてしまう、稀有な発明だ」。
過去の日経サイエンスの記事から、ロボットに関するものを選んで一冊にまとめてある。4章構成。戦争ロボット、救助ロボット、手術ロボット、研究ロボット、ホームロボット、視覚チップ、昆虫型ロボット、昆虫を制御するサイボーグ型ロボット、人間型ロボットなどの研究が取り上げられている。
戦争ロボットの進化は衝撃的だった。アフガニスタンでは数千台規模でロボットが投入されたが、次の大規模紛争には数万台規模で使われることになるだろうという。それらは人間が乗る必要が無く、自己判断で動くか遠隔操縦で動かせる。わざわざ人が乗らなければならないガンダムでさえ古臭く思えてしまうくらいだ。
自分で仮説を立てて実験までを行う「アダム」という名の研究ロボットが、実際にある酵素をコードしている酵母の遺伝子を3つ発見した例を紹介している。こうなると、ほとんど科学者といえる。
BMI(Brain Machine Interface)によって、脳の信号から直接ロボットを動かす試みについても紹介されている。サルの脳のニューロンの活動を感知して直接ロボットアームを制御することに成功した実験結果は、驚きをもって読んだ。また、てんかんの発作を検知して脳の神経を直接鎮める実験も、ラットでは成功したという。心臓のペースメーカーのようなことが脳でも可能になるかもしれない。
深く考えさせられたのは、東日本大震災で日本のロボットがあまり活躍しなかったことの背景について。最大の要因として、実証研究でロボットの能力をあげてゆくという仕組みが日本はあまり整っていないという点が挙げられている。アメリカは軍事利用が進んでいるため、この点でアドバンテージがあるようだ。また別の学者は、技術的なハードルが高いのに使える用途は限られる人間型ロボットに対する日本人の幻想が、本当に必要なロボットへの開発努力をおろそかにさせてきた可能性についても指摘している。