日本では1999年東京国際映画祭で上映されたのみで,半ば幻の作品と化していた
『湖のランスロ』『たぶん悪魔が』の初DVD化。中古市場で高値がついていた
『ジャンヌ・ダルク裁判』のブレッソン作品としては珍しく特典映像付きで復活。
3作品ともPALマスター使用の為本来の再生速度ではなく『たぶん〜』がスタンダード
収録仕様である等100%満足とはいえないものの,ブレッソンの未公開作品が
日本で容易に視聴できる環境が整ってきたことは喜ばしい。
『湖のランスロ』…アーサー王と円卓の騎士や聖杯探求のお話について知識を持ち合わせて
いない人にとっては,唐突に展開される血みどろの戦闘や延々と続く馬上槍試合,色鮮やかな
騎士たちのタイツ姿にキテレツな印象を持たれるかもしれませんが,異様な迫力に満ちた画面の
迫力には驚愕しました。ブレッソンが映画化を夢見てきた企画だけに鎧、武具、馬、
人物、細部に至るまで氏の執念が感じられます。16:9収録。画質は並。
『たぶん悪魔が』…自殺願望青年の彷徨と現代社会を憂う若者たちの,なんとも陰鬱な
物語に,何と輝きが満ち溢れていることでしょう。劇中挿入される,水俣病患者や
毛皮のために撲殺される赤ちゃんアザラシの映像の齎す衝撃。劇場公開が強く望まれます。
画質はスタンダード収録乍ら30年前の作品ということを踏まえても良好の部類。
『ジャンヌ・ダルク裁判』…特筆すべきは,3種類の映像特典が収録されていることでしょう。
ブレッソンの貴重な生前の映像もさることながら,ジャンヌを演じたフロランス・ドゥレが
撮影に使われた独房を再訪する映像中彼女の口から率直に語られる言葉(知性を感じさせる
素晴らしいもの)が,物語の概要を掴むうえで助けになりましょう。本編については,16:9
対応。画質は並。PAL変換(62→65分)。
それぞれの作品には細川晋,堀潤之両氏執筆によるブックレットが付属。資料的価値が高く
充実しています。物語や作品の背景に関し丁寧に解説がなされブレッソンを理解する上で
大いに役立つ事でしょう。