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ロベルト・ムージル
 
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ロベルト・ムージル [単行本]

古井 由吉
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

現代の精神がたたずむ場所、異様にして不可解な、その名づけえぬトポスを、精密に記述する、精神による実験と文体の創造。ムージル作品の秘密が、古井文学の方法的な核心を語る。世紀末ウィーンの作家ムージルと20世紀精神の命運。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

古井 由吉
1937年生まれ。東京大学大学院独文学専攻修士課程修了後、金沢大学で講師を、立教大学で助教授を勤める。70年、『杳子』で芥川賞受賞。以降、作家活動に専心する。80年、『栖』により日本文学大賞を、83年、『槿』で谷崎潤一郎賞を、87年、「中山坂」で川端康成文学賞を、90年、『仮往生伝試文』によって読売文学賞を、97年、『白髪の唄』で毎日芸術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 236ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2008/2/26)
  • ISBN-10: 4000025929
  • ISBN-13: 978-4000025928
  • 発売日: 2008/2/26
  • 商品の寸法: 20.2 x 14.2 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
 芥川賞作家古井由吉がゲルマニスト(ドイツ文学研究者)としてデビューした初期のムージル研究論文や解説文を集めた論文集。論文集だが、後年芥川を受賞するように、研究者時代から文章感覚は卓越していたので、アカデミズムの歪な文体ではなく独特の明晰な文章で綴られている。これは著者がドイツ文学作品としてオーストリア文学の大家ムージルの文体に影響を得たためである。ムージルは、オーストリアのエリート官僚の家系であったが、世紀末の爛熟した時期に青春を過ごすが、両親と母親の愛人とが同居する奇妙な家庭に育つ。大学では学位を物理学者エルンスト・マッハ論で取得し、科学的な認識論をベースに小説作法エッセイズム(これは彼だけの手法ではなく、H.ブロッホなども使っている。命名者はヴァルター・イェンス)を構築する。その科学性に育まれた明晰な文体の影響を古井は如実に受けている。その影響力を自ら明かした論文集であり、古井由吉研究にはまず最初に読まれるべき1冊である。著者のしなやかな文体の秘密がここにある。
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形式:単行本|Amazonが確認した購入
本書は二十世紀前半に活動したオーストリア人作家ロベルト・ムージルに関する、古井由吉氏による秀逸な評論です(書中に倣ってエッセイと呼ぶのが相応しいかもしれません)。
ムージル作品の基調を成すものは、出来事、観念、道徳律といった無反省を超えた、精神の厳密な探求による新たな体験への希求です。そして、その営みの先には豊穣な虚空が拓き、其処では仄かに察せられるだけの感情が漂い、愛の調べが幽かに漂い流れています。しかし、感情も愛も最早現実を前提としていた時のものではなく、信仰が熱烈に求めるような、虚空における合一的なものです。
意図と意義はどこにあるのでしょうか。これまで試みられることのなかった、或いは憚れてきた人間の体験の拡大、新たな相の提示ではないでしょうか。現実に対して精神による「可能なもの」を優位に置くムージルの姿勢を、現実を危うくすると危惧を唱える向きもあるでしょうが、これは現代的な姿勢であると同時に極めて人間的な営みでもあり、人間に可能な体験を押し広げる意義ある試みではないでしょうか。
そして本書はロベルト・ムージルに関する評論であると同時に、古井氏の文学作法の本人による開示といった側面を併せ持っています。現実の拓いた先に現れるあまりにも人間的な体験を希求する、古井氏の極めて現代的で厳しい文学への姿勢が明白になっていきます。現代文学の深層流とも呼び得るものが両者の間に、更には現代芸術全般の深層に昏く流れているのです。
冒頭近くに配された一文は、ムージルと古井氏の文学に通有の姿勢を表していると言えるでしょう。「真に現代作家らしいものをあたえるのは、熱狂的にせよ、ひややかにせよ、体験の拡大への突破口をうかがう、あのほとんどエロティックな緊張である」
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