中世の吟遊詩人が歌った伝説の義賊ロビン・フッド。
彼は、最初から正義のヒーローだったわけではない。悪代官をこらしめて得意になる単純な暴れん坊でもない。彼はは自らの意思で“ロビン・フッドになった”のだというあたりに心が躍ります
領主ロクスレーの息子の身代わりになるという設定はかなり突飛なのだが、自らの出自を知り、母国のために戦うと決めたとき、ロビンは、得意の弓だけでなく剣をも握る。主人公が戦うモチベーションを高めていくプロセスが、歴史に絶妙に重る脚本の上手さ。フィクショナルな人物の強みを生かし、一方では歴史的事実を追いながら、他方ではエンターテインメント的なスリルを味わわせる手並みは見事です。
中世イングランドのなだらかな田園や深い森の自然描写の美しさ。歴史を感じさせる建築や衣装、生活様式も、細部まで目配せが効いています。でも、スコット監督の真骨頂は、クライマックスの戦闘シーンにつきるでしょう。それは、ドーヴァー海峡での決戦。騎兵たちのまっただ中の視点で肉弾戦を捉え、時として空中から全体像を鳥瞰するかと思えば、要所要所で海面や水中からの映像も組み込み、多角的に壮絶な戦いの様子を捉えます。
弓矢の名手として知られるロビン・フッドを主人公としているわりに、その見せ場が少ないことに、少々不満があったのだけれど、西部劇さながらの、一瞬の鮮やかな一撃に溜飲を下げることになります。最後のその演出、ニヤリとさせられました。
冒険活劇として、単純に楽しみましたが、最後の戦いまでの中盤あたりが、少々間延びしてしまったように感じたのは、ロビン・フッドという人物そのものに思い入れがないしからかもしれません。その意味で、歴史的背景も詳しくない私のような日本人には真の意味の感動は得られないかもしれません。