その昔、とっても貴重なテレビ放映で見たときに、「なんとキッチュな作品!」と感嘆。数年前の映画祭(ドイツだったか)にあたりデジタルリマスターされ、目の覚めるようなカラーでスクリーンで再会したときに、あまりの発色のすばらしさに別作品かと思いました。おそらく、ペロー原作の童話の映画化ということで、フランスの子供たちは誰もが知る物語だと思います。この映画は、マニア向けでレアな作品なのではなく、フランスでは公開時から子供たちに定番的に受け入れられてきた、とそのときに知りました。個人的にも、いまは「キッチュな作品」ではなく「個性あふれる名作」として受け止めています。
ただ、ちょっとしたずらし方は大きな楽しみの一つ。子供向けのストーリーは大きくかえずに、でも70年代らしく脚色された内容は、見た後じわじわと後味となって広がります。従者の顔や馬にまで色を塗ってしまう色彩の徹底、父娘の関係の強調、空想シーンのボートの上でドヌーヴの<スモーキング>などなど。特にすばらしいとおもうのは、<マンハント>の側面の強調でしょうか。
たとえば、小屋の窓から覗き込む王子にむけてドヌーヴが鏡越しに放つ、ほんの少しだけ口元にうっすらと浮かべる<艶笑>(っていうのかニヤケっていうのか)は、絶品!
私はこの場面の演出が気になったので、おもわず岩波文庫の原作をあたってしまいました。原作者ペローもうまく書き込んでいます。
また、リラの精を演じるデルフィーヌ・セイリグは、気ままに囁くようなハスキーボイスと、ミニスカートからのぞくほっそりとした脚線美で魅せる。彼女の歌は彼女自身が歌っているのもいい(ドヌーヴの歌は実は吹き替えです)。この妖精も、またちゃっかりと<女>だったりします。
DVDソフトとして見ると、映像特典はなかなか充実しており、アニエス・ヴァルダによるドキュメンタリーや子供向け上映会の模様が収録されています。後者では、ナレーションや歌のナンバーをそっくりそのままカメラの前で披露する子供たちがかわいい。しかし、一番のおすすめはカラオケ。「愛のケーキ」を含む数曲が、フランス語の歌詞字幕入りでカラオケ(声抜き)が入っています!