70年代後半〜80年代前半における渋谷陽一の評論集。主としてロッキングオン掲載のものであり、音楽評論だけでなく、マンガや映画の評論も収められている。
渋谷氏の文学的評論には賛否両論ある。私自身はどちらかというと「否」のほうなのだが、それでも歯切れの良い文章はなかなか読ませる。まあ、渋谷氏の歯切れ良さは、厳密性を放棄したところで成立しているのではあるが。
現在、渋谷氏は音楽評論文を書いていない。渋谷氏が“言葉で音楽を語ること”の限界を感じ、次第に評論文を書かなくなっていったのは、本書に収められている文章を書いていた頃だろうと思う。そういう意味では興味深い本である。
初版が1984年と少し古いのが難点。
評論の対象が古いので若い人は楽しめないかもしれない。
若い人でも、渋谷氏の音楽評論家としてのスタンスを知りたい人、「音楽を評論する」とはどういうことか、を知りたい人にはおすすめする(そんな若者は、もういないか)。