最早、氏の十八番とでも言うべき、「快〜感〜!!」と叫びたくなる事必至の、強烈なグルーヴ感を備えた文体。音楽性を露にした文体。
だが、その事に言及すべき場は、ここでは、ない。物語を読了した時、あなたは気付く筈だ。これが、嘘、大袈裟、紛らわしい表現を抜きにして「ベルカ、咆えないのか?」の正統的続編であるという事実を。
犬の歴史によって語られた20世紀の物語。そのラストで21世紀へと向け、宣戦布告した、その言葉通りに犬によって侵略されている21世紀。そこから、過去として、「ロックンロール」を題材として、再び20世紀は語り直される。その寓話性に満ちた挿話の数々。しかし、注意深く読めば、それら全てが氏の過去の作品、その全てに対してのオマージュ(と断言して良いかは判らないが)になっている事に気付く。そして、オマージュに止まってはいない事にも。
つまり、いつかあなたが「古川日出男」を語り直す時、彼の世界はここで一旦、その円を閉じる。
畢竟、世界が終る。そして、終らない。
断言しよう。次作で、氏の紡ぐ世界は更なる広がりを見せる筈だ。それまでの彼の作品を巻き込んで、さながら超新星の如く。ビッグバンみたく。
ともかく、こんなレビュー読んでいる暇があれば、まずは読んで下さい。総括的なる傑作。誉め過ぎだと謗られようが、記念碑的傑作(パルプな装丁もイカシていて、ジャケ買いだけでもする価値ありですよ)。