加瀬亮扮するサラリーマンが、インディーズ・ブランドをやっている同級生に再会したことで、退屈な日常を捨てて行動を共にしたエアポケットのようなひと夏を描いたお話。
つまり、自分はこのままじゃいけないと思いつつも何か他にやりたいことがあるわけでもなく、とりあえずあっちの水はうまそうだと当てのないまま飛び出しては来たものの、結局「うまそう」だっただけっていう現実を見る、という、まあシビアでビターな青春映画。
最初、主人公から見る同級生たちはとにかく魅力的に映る。柔らかな光の挿し込むビルに小さな事務所を構え、自由な時間に好きなことやって生計を立て、夜はクラブに行って弾けて、まだ薄暗い朝に夢とか理想を語ってみせる。サークルの延長線上みたいな生活。りょうや池内博之の演技も自然体で感じがいい。
そこまではよく描けているなあと思うんだけど、行定作品にいつも感じる終盤のやっつけぶん投げ感が今作でも遺憾なく発揮されているのが残念。ブランドのリーダーである池内の行動が、SUGIZO(笑)の登場といったギミックで惑わせているだけで、極端に映る。彼の「大人らしい」葛藤や挫折を、服という分かりづらいネタなだけにもうちょっと分かりやすく描いて欲しかった。
ただ興味深かったのは、普通青春映画だと、主人公は色々体験して成長しましたよ、っていうところを強調して物語を終わらせるんだけど、この映画の主人公は結局何も変わっちゃいないこと。だって、ほとんど何もしてないし、ただの傍観者に過ぎなかったから。